日本の農業はもう自給率と言ってる場合ではない
日本の農業従事者の年齢分布、これは5年前です。
5年経過した今は、これがそのまま右にスライドしていますので、中央年齢(平均年齢は若者が1人はいると大きく下がるので重要なのは中央年齢)はほぼ75歳を超えるはずです。
そうなるとどうなるか。2030年の農作物の収穫量の試算です(ChatGPTo3)
- 人と土地の双方が急速に細るため、対策なしなら 2030 年の国内収穫量は 2020 年比でおおむね▲15~20%。
- スマート農業・農地集約が想定以上に浸透すれば減少幅は▲10%前後にとどまる可能性。
- ただし品目間で明暗が分かれ、コメ・果樹は下げ幅大、施設野菜や畜産は比較的小さい見通しです。
- 輸入依存度が上がりやすい構造 になるため、農政サイドはスマート機械の導入支援と規模拡大をセットで急ぐ必要があります。たった3%の大規模農家が全体の40%を生産しているわけで、いままで日本の農業はいかに効率化がなおざりだったかが分かります。
食糧自給率ガーとかいったってエネルギー自給率が10%くらいしかないんだから戦争になってタンカー止められたら一瞬で生産も輸送も出来なくなりますよ。
となると、AIも言うように
スマート農業と農地集約
がキモになるわけですね。しかしながら、従来型の古い農業族議員(自民から共産までまんべんなくいます)は、こうなると農家の票が減るため、まったく前向きではありません。日本政府はもっと農業に金を出すべきだというアタオカ政党もいますが、実は日本のOECDの生産者支援推定(PSE)は非常に高いのです。
ほらね。ノルウェー・スイス・韓国に続き4位。OECD 平均(15 %)の約2.5倍です。バラマキもいいとこです。しかし借金まみれの日本にはもう金が無い。
しかし、すぐにできることがあります。しかも1円もかからない。
厳しい日本の農業に対する参入障壁
だいぶん緩和されたとはいえ、これが現状です。
・上場企業は農地を買えない
トヨタはHAPPY AGRIというカイゼン方式を農業に取り込んだプロジェクトを進めていますが、農地が買えないので本格参入ができません。コンサルティング程度に留まっています。もったいない。トヨタにとっては片手間の社会貢献程度です。
・中小は土地は買えてもすべて農業に振らないといけない
つまり、本業が別にあって農業もやるというのは不可能です。公共事業が減っている地方の建設や土建業は重機も使えるし人材もいる。やりたいのはやまやまだと思うんですよ。
Threadsでも
という意見や
というのもありました。これは規制が厳しすぎて投資の割に中小零細では人件費で利益が上げられない典型でしょう。
ここまででご理解頂けたと思いますがわたしの主張は
とっとと企業に農業を全解放しろ!!
です。特に効率化に優れたトヨタさんにはすぐに本格参入していただきたい。
諸外国は企業が大規模農業を行っている
そこでGrokに先進国はどうなっているのか調査を依頼しました。
農地面積保有率は、企業(特に法人や外国企業)が所有または管理する農地の割合を示します。以下は主要国の状況です:
米国:2023年時点で、総農地面積(約13億エーカー)の約3.6%(約4,585万エーカー)が外国企業を含む法人によって保有。内訳は森林48%、農地29%、牧草地17%。
国内の大規模農業企業(例:カーギル、モンサント)も広大な農地を管理し、単一栽培や畜産で影響力を持つ。家族経営も多くは企業化されている。
オーストラリア:農地の約13.6%(約5,200万ヘクタール)が外国企業を含む法人によって保有(2023年データ)。特に穀物・畜産分野で企業保有が多い。外国投資は主にカナダ、米国、英国からの企業によるもので、再生可能エネルギー(風力・太陽光)プロジェクトも農地利用の新たな要因。
ドイツ:ブランデンブルク州(130万ヘクタール)では、農地の約25%が非農業関連の企業や投資家(公的機関、個人投資家、自然保護団体)により保有。農業者による保有は約33%。企業による農地集中は地域により異なり、一部地域で高集中が見られる。
フランス:農地の企業保有率は低く、家族経営が約80%を占める。企業保有は主に大規模ワイン生産者や協同組合による。外国企業による保有は1%未満と推定。
日本:農地の企業保有率は非常に低く、2020年時点で約0.5%(約2万ヘクタール)。企業による農地取得は規制が厳しく、農業生産法人に限定される。
カナダ:農地の約5%が企業(国内外)による保有。外国企業による保有は厳しく制限されており、カナダ国内の企業が主導。
中国:農地は国家または集団所有のため、企業はリース形式で管理。2023年時点で、大規模農業企業によるリース面積は総農地の約15%と推定。
要約すると
補助金撒くより1円もかからない規制解除やれ
ということになりますね。282人の経済学者への調査でも日本経済のために最も必要なのは規制緩和だという意見が圧倒的。
税金ばら撒いて借金をまた増やすよりとにかく規制緩和ですよ。
編集部より:この記事は永江一石氏のブログ「More Access,More Fun!」2025年6月4日の記事より転載させていただきました。