止まらない少子化:結婚しても自分中心な現代人

昨日記事の日本郵便の事業用車両免許取り消しに続き、全日空とそのグループで運賃を上限を超えて受領するケースが頻発し約50億円も貰いすぎになっていたに関し、国交省が厳重注意をしたとあります。読みすぎと言われるかもしれませんが、公明党の乱なのか、功名心なのか、はたまた小泉氏に刺激されたのか、参議院に向けて存在感アピールなのかいろいろ想像が膨らみます。大臣は中野洋昌氏、47歳。懲罰は確かに大事であります。ただやり過ぎは禁物で今回はカードゲームでいうとエースとキングを切ったので公明党のアピールはもうこの辺でよろしいのではないかと思いますが、いかがでしょう、中野大臣さま。

では今週のつぶやきをお送りいたします。

市場は一時の安堵か

2週間ぐらい前まではOPEC+の7月の原油産出がどうなるか心配だったものの過剰な懸念が消えたとたん、原油価格は上昇。セオリー通り「原油高けりゃ株価も高い」となっています。関税交渉はどうなったといえば早々に合意した英国の後、誰も続かないという奇妙な状況ですが、その理由として2つ、考えられます。1つは政権が全ての交渉をハンドルできず、てんてこ舞いになっていること、もう1つは交渉国がアメリカの足元を見始めたことです。とりもなおさずトランプ氏の朝令暮改に慣れてきて誰もオオカミの叫びに反応しなくなったのです。

本日発表のアメリカ5月雇用統計。この解釈ですが、1-2か月前に指摘したように企業は関税の影響を見極めたく、解雇もしないけれど新規の雇用にも消極的になっていると読むのが正解でしょう。私に言わせれば縮小均衡であって決してアメリカ経済にプラスではありません。またアメリカに入っていた投資マネーは潮が引けるようになっており、アメリカの株価指数の戻りが鈍いのに対して自国に還流されたマネーが自国の株式市場を押し上げており、カナダやドイツは「新値追い」の状況が続き、他国でも同様のトレンドを形成しつつあります。よって日本の株価も一足早いサマーラリーに入ってもおかしくないかもしれません。

市場の目は既に夏休み明けの秋以降の展開を探る形になっています。ドル指数のチャートは判断がむずかしく、底打ちにも見えるし、一時的な反発から更に下げる予兆の瀬戸際のどちらにもみえます。個人的には下げるように感じます。判断材料は6月から7月にかけて発表される消費指数関連と景況感指数、更に関税交渉の動きと共に供給側の過剰仕入れ、消費者の買い控えの状況あたりが判断のポイントになります。市場はこれから2か月半、サマーラリーと称して「みて見ぬふり」をするかもしれませんが、その分のしわ寄せが9月に来るのが慣例とも言えます。今年はいろいろな意味で「しわ寄せ」の年なのでそのあたりは細心の注意が必要かと思います。

トランプ氏の賞味期限は近いのか?

私は就任から6か月後を見たいと以前から申し上げていました。つまり7月20日です。トランプ3.0は原則あり得ないので最後の任期であり、かつ中間選挙では現在のオールレッドが崩れるのがジンクスです。とすれば最後の2年はねじれで4年目はさまざまな抵抗にあい、決められないためせいぜい中間選挙がある26年秋までが勝負。またそこで結果を出すには今年中に行った大統領としての判断がカギになります。中間選挙の話をすれば現時点で民主も共和も存在感が全くないのですが、特に共和党はトランプ氏の陰に隠れてしまい、トランプ氏の失政が共和党の敗退になりやすい構図に見えます。

そのトランプ氏、お前の評価など聞きたくないと言われるかもしれませんが、外交に関してはゼロ点を差し上げます。特にウクライナ問題は止めるどころかより激化し、「勝手に継続すれば!」と言わざるを得ない状況にあります。この件はトランプ氏だけが悪いわけじゃないのですが、成果ゼロはゼロです。イスラエル問題とそれに関連するイランとの核開発協議も全く進捗していません。昨日習近平氏と電話会談しましたが、内容で目覚ましい成果があったとは思えません。トランプ氏はいつも「素晴らしい会談だった」というのですが、それは彼の意味のない口癖なのにマスコミがそれを何の疑いもなく載せるので読み手は乗せられるのです。

イーロン マスク氏とも大喧嘩してゼレンスキー氏の二の舞となりました。今までアメリカ大統領に公然とケンカを吹っ掛けるなどあり得ないことだったのです。それがこう続くとなれば誰もが思うのです。「俺もいざとなればブチ切れるぞ」と。トランプ氏は内政でも成果が生まれているのかわかりません。上院で審議中の減税法案を私は「最低の法案」と申し上げましたが、マスク氏も同じ意見のようです。トランプ氏は不法移民から留学生まで外国人排斥をしていますが、それはアメリカを曇りガラスの瓶に閉じ込めてしまったと言わざるを得ません。一度魅力を失うと回復するには長い時間がかかるのが普通です。そろそろアメリカ国民は声をあげるのでしょうか?

止まらない少子化

私、ハラリ氏の「サピエンス全史」を読んで思ったことがあるのです。人類は様々な種が生存競争を繰り返してきた中で種の栄枯盛衰が必ずあるのだ、と。つまりサピエンスが絶対王者になるわけではなく、地球上で様々な人種、それこそ肌の色の識別レベルではなく民族まで落とし込んだ時、人類ほど環境適応ができているようで出来ていない種はないのかもしれないと感じたのです。特にこの100年ほどは産業や技術的進歩に目が行きがちですが、人類繁栄という点では既にピークを越えたように感じるのです。

mapo/iStock

なぜ少子化が止まらないのでしょうか?ずばり種の保存の意識が薄れたのではないでしょうか?現代人は自分中心なのです。仮に結婚しても自分たち夫婦中心なのです。子供の養育をしやすくさせる政府や自治体の様々な施策は表面的な繕いでしかなく現代人の本質を突いたものではありません。もっとわかりやすく言うと人類がもっと暇ならば家庭に戻り、家族は大きくなるのです。様々な刺激が内外で増え、最近はスマホいじりと現代のミーイズムが主流となり、誰に聞いても「忙しい」と言います。忙しければ家族を思うことはなく、子供を作る意思も生まれないのです。

この傾向は日本だけではなく、台湾と韓国が先行しました。シンガポールもそうですね。それらの国は「頑張れば金持ちになれる」という餌をぶら下げられた国々であり、それをタイが追随し、ベトナムも追いかけます。キリスト教のフィリピンですらもはや少子化時代で東南アジアで人口維持ができるのはインドネシアがギリギリでとどまっているだけなのです。止まらない少子化を止めるには人類からインターネットとスマホを取り上げる以外方法はないわけで、それが嫌なら少子化ありきの制度設計をするしかないと思います。政府の少子化対策には限界があると思います。

後記
シェアハウスの新規契約交渉で最近多くの中国系の方が英文の契約書を丹念に読み込むので正直びっくりしています。質疑のやり取りもまるで企業相手にリーガル闘争をしているようなケースもあります。普通の経営者なら「面倒くさい客は取らない」のだと思うのですが、私は逆に闘志を燃やし、相手をどこまで納得させられるかとことん勝負します。ある中国系の方が私に「日本滞在でいろいろお世話になったのはひろさんだけだった、ありがとう」と言われたときは諦めずにやり取りしてよかったと思いました。ビジネスチャンスを取捨選択するのは私には100年早いと思います。頂いたチャンスには全力でお返しする、この姿勢は大事だと思います。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2025年6月7日の記事より転載させていただきました。

アバター画像
会社経営者
ブルーツリーマネージメント社 社長 
カナダで不動産ビジネスをして25年、不動産や起業実務を踏まえた上で世界の中の日本を考え、書き綴っています。ブログは365日切れ目なく経済、マネー、社会、政治など様々なトピックをズバッと斬っています。分かりやすいブログを目指しています。