観光しないで同じ街に3日いると見えてくるものがある

国が定めた休日以外に自由に休みにくい空気に未だに支配されているせいか、典型的な日本人の旅行は国内なら週末の土日を使った1泊や2泊の慌ただしいスケジュールです。

長期休暇を取って海外に出かけてもリゾートは別として、観光地巡りは毎日転々と場所を変えるパターンが多く見られます。

短い休みを有効に使おうと綿密にスケジュールを立てて分刻みで行動するのは良くわかります。私も20代の頃は早朝から予定に沿って有名観光地巡りをして、写真を撮ってまた次の場所へというようなスタイルでした。

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しかしそんな旅行のスタイルはいつしかやめてしまいました。

最近は予定を決めずに好きな街に連泊してのんびりと過ごすパターンが多くなりました。有名観光地巡りに飽きたというのもありますし、時間の自由が増えて好きなように休みが取れるようになったからかもしれません。

予定のないのんびりと気ままな旅をしていると、思わぬ出会いがあったりして、計画的な旅行では見えないものが見えてくることがあります。

今回、緩く予定を立てて秋田に3泊してきました。お気に入りの飲食店の予約を数件入れただけで、後は現地で自由に過ごしました。

そんな中、ふらっと出かけて見つけた地元の人が通う市場に東京では見ることのない珍しい山菜が売られているのを見つけ、東京に買って帰ることにしました。

あるいは地元の人に街の中心部からかなり離れたところにある味噌チャンポン(写真)のお店を紹介され、時間があったのでバスのスケジュールを調べて行ってみたりしました。

こちらのお店は開店前から地元の人たちで行列ができていて、人があまりない街中とは対照的な人気ぶりに驚きました。とても気に入ったのでまた次回も行ってみることにしました。

どちらも1泊2日の滞在であれば、きっと行くことはなく体験することのない場所です。予定をガチガチに組んでおらず、フレキシブルに変更することができたからこその出会いでした。

旅行とは計画通りに予定をこなすことが目的ではありません。予定通りにいかなかったり、敢えて予定を立てずに現地で自由に行動する。そんな中から、想定外の素敵な体験が生まれたりすることを今まで何回も経験してきました。

旅行で遭遇した事件やトラブルも後から振り返ると笑い話になってしまったりするから不思議です。そしてそんな想定外の出来事の方が後から楽しく印象深い出来事としてずっと記憶に残っていたりするのです。

長期の旅行でも1泊ずつ慌ただしくホテルを転々とするのではなく、少し長いかなと思うくらい1つの場所に滞在してみる。それが、今までの旅では見えなかったものが見えるきっかけになると思います。


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2025年6月12日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。