日本経済新聞が社説で原発投資の推進を提言

原子力発電の運転延長を可能にする新制度が導入されました。日経新聞はこれを「安定供給と脱炭素の両立」と評価しています。これまで同紙は、再エネ偏重の立場から原発に対しては一貫して冷淡で、建て替えや新設には否定的な論調を繰り返してきましたが、ここのところ軌道修正が目立ってきています。

生成AI(人工知能)の普及などで今後の電力需要は増加が見込まれる。運転延長は安定供給と温暖化ガスの排出削減を両立する現実的な対応だが、一時しのぎでしかない。原発を将来も活用していくため、政府は電力業界に新規投資を促す方策の具体化が急務だ。(日経新聞社説より)

現実的に、再エネだけでは電力の安定供給も脱炭素も実現できないことが、国内外で明らかになりつつあります。欧州では電力価格の高騰、ドイツでは石炭回帰、日本でも太陽光の出力制御が頻発し、送電網への負荷も限界に近づいています。

日経がこうした事実を十分に伝えることなく、「再エネこそ未来」と煽ってきた責任は軽くありません。

今回の原発容認記事は、脱炭素理想論の挫折をようやく公に認め始めた証左と言えます。とはいえ、それを「現実的対応」と言い換えるだけで過去の誤りを曖昧にする姿勢には、反省の色が見えません。

原発を「延命」させるでけはなく、将来を見据えた新設・建て替えこそが本来の議論であるべきです。

今必要なのは、理想に酔った再エネ幻想から抜け出し、国民生活と経済を守る現実的なエネルギー政策を正面から議論することです。その第一歩として、まずはメディア自身が過去の誤りを直視する誠実さが求められています。

これから顕在化してくるツケを払うのは将来の日本国民です。

電力関係者はこの結びをどんな気持ちで読んでいるのでしょうか。

GX電源法は原発を活用した安定供給や脱炭素実現を「国の責務」と位置づけた。政府は固定費の回収保証に加え、インフレなどのコスト上昇分も一定程度まで支援する検討を進める。投資の背中を押しつつ、使用済み核燃料の最終処分や福島第1原発の廃炉などの課題でも前面に立つべきだ。

国に支援を求めている電力会社は、安全・安心を最優先しつつ、低廉かつ潤沢な電力の供給に全力を尽くすのが当然である。(日経新聞社説より)

高浜原発 関西電力HPより