他人のお金だと無駄遣いするのは政治家だけではない

政府与党が突然発表した現金2万円給付に関して、千葉県知事の熊谷さんがSNSで鋭い批判を投稿しています。

2万円の現金給付をすべての人にミスなく、そしてくまなく支給するために地方自治体の職員にどれだけの事務負担とコストがかかるか。支払い作業するのも事務コストを払うのも、自分ではない政治家には実感がないようです。

今回の現金給付の発表に関してはそもそも単なる選挙対策にしか思えない対応で、非効率な方法によって国の財政をさらに悪化させる愚策だと私は思っています。

参議院選挙対策としての姑息な目的が見透かされ、国民からの反発を招き政府与党には逆効果ではないかとさえ思います。

政治家の自己都合の政策に関して批判をするのは簡単ですが、翻って自分の行動パターンを振り返ると、自分のお金に対しては厳しくチェックするのに、他人のお金だと無駄遣いしていることに気が付きます。実は自分の行動も政治家と同じ穴の狢だと思ってしまいます。

例えば、会社の経費での接待であれば、飲食店で値段を気にせず注文をしてしまう。自腹だったら電車に乗るのに、誰かに払ってもらえるならタクシーに乗ってしまう。

あるいは、飲み放題のお店に入ると、たくさん飲んでもお店が負担するだけで自分の支払い額は変わらないので、いつもよりたくさん飲んでしまう。

そのような行動パターンは誰しも思い当たるのではないでしょうか。

政治家といってもほとんどの人は聖人君主ではなく所詮は我々と同じただの俗物です。自分ができないことを政治家に求めるのではなく、政治家に自分事として考えてもらえる仕組みを工夫することが必要だと思います。

それにしても政府与党が給付金の支給を打ち出したことで、7月の参議院選挙に向けて主要な政党の全てが減税や財政のばらまきを選挙公約として掲げるようになってしまいました。

財政赤字が拡大を続け、金利上昇によって国債の利払いが増える中で、長期のビジョンも無く危機感皆無で目先の人気取りを競い合う日本の政治の現状。

支持したいと思う政策を打ち出す政治家がいない中、どのような投票行動を取ったら良いのでしょうか。民主主義の限界を痛感します。

石破首相 首相官邸HPより


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2025年6月15日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。