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大企業に勤めていても副業が推奨される今、起業に興味を持つ人は増えています。そんな中、常に注目されているのが資格の取得。なにもないところから資格を使ってどう稼ぐのか? 資格を取ることで人生を逆転させた、経営コンサルタントで士業(特定行政書士)でもある横須賀輝尚氏の著書『ごく普通の人でも資格を取ってきちんと稼げる本』から、再構成してお届けします。
23歳、社会人経験なし、お金なし、人脈なしを救った資格
まずは、2025年で会社設立20周年を迎えた私自身が、資格でつくった実績をお話ししておきましょう。
著作は25冊で20万部を超え、運営している士業向け経営スクールでは16年で3,000名以上の受講生を輩出し、毎日新聞や週刊ダイヤモンドなどメディア掲載の実績も多数あります。大成功とはいかないまでも、ある程度のレベルの成功には達することができたのではと、少しだけ安堵している現在です。
大不況と言われるこの時代に、なぜこれだけの成果を出し続けることができるのか。結論から言えば、「戦略的に資格を使った」からです。
私の場合、はっきり言って、資格がなければこのような結果は絶対に出せませんでした。それは、「絶対に」です。
世間では「資格なんて取っても意味がない」と言う人もいるようですが、私にとって資格とはこれ以上ないほど大きな武器であり、感謝してもしきれないものです。
もちろん、資格がなくてもフリーランスで仕事はできますし、独立開業もできます。しかし、まったく何もない状況から仕事をつくり出すというのはとても難しいもの。そこで、資格を取るという選択はひとつの合理的な判断と言えます。
500万円の給料より300万円のフリーランス収入
最初に断言しておきますが、あなたも資格を戦略的に考えて選び、取得すれば必ず成功できます。そして、その道を歩むことで、漫然と自分探しをしながら会社勤めを続けるよりも、よほど安定して収入を増やすことができるようになるでしょう。
もう少し言ってしまえば、これからは会社勤めをしている・していないにかかわらず、フリーランスで仕事をし、稼ぐことができる能力を身につけておくことはきわめて重要だと宣言しておきます。物価の高騰や人手不足倒産など、企業も生き残りをかけて必死になっている中で、職がなくなるというのは、本当に他人事ではなく、明日あなたにも降りかかってくる可能性があるのです。
これからは、会社からもらえる500万円の年収よりも、自分でコントロールして稼ぐ300万円のフリーランス収入のほうが、より重要になってきます。どんなに高い給料をもらっていたとしても、リストラされてしまえばそこまで。再就職できればいいですが、今後はわかりません。
そこで、役に立つのが「資格」です。もちろん資格がなくても、フリーランス能力を身につけることはできますが、資格をうまく使えばフリーランスとしての活動は何倍もの効果につながります。
新卒でまさかのリストラを経験
こういう話をすると「それはあなたが優秀だったからできたのではないですか?」と聞かれることが多いのですが、そんなことはまったくありません。少なくとも、私ができたことはあなたにもできるはずです。
たとえば学歴。行政書士の資格は大学在籍時に取得したものの、私の学歴はいたって平凡です。最終学歴は専修大学法学部卒業。中堅クラスの大学です。
では、どこか有名企業で経験を積んだことがあるのかといえば、就職活動のときには大手企業は軒並み全滅。何十社も就職試験を受け、最終的に1社のベンチャー企業になんとか内定。優秀どころか、平均以下の人材だったのです。
まだまだあります。今度は新卒で入った会社をリストラされました。理由は、能力不足と人間関係。
「お前、明日から会社にこなくていいよ。手続きはこっちでやっておくから」
ある朝、入社したベンチャー企業の社長にそう告げられた私は、順風満帆どころか職を失ってしまい、途方に暮れてしまいました。
23歳、持っている資格は行政書士のみ。これが私のスタートラインでした。はっきり言って、よいところを探すのが難しいくらいのスタート。こういう状態から始めました。
雇用されることへの抵抗感
まわりに伝えた「実は会社を辞めることになった」。これが独立起業するとか、家業を継ぐとか、そういう前向きな理由で自主退社したのであれば、格好もつきますが、なんといっても解雇です。あとで専門家に相談したところ、違法性のきわめて高い解雇だったそうですが、職がなく収入もない現状は変わりません。
まさか23歳という若さで会社をリストラされるなんて、夢にも思いませんでした。当時は再就職する気力も起きず、田舎に帰る度胸もなく、東京で茫然自失としていました。
しばらくは手持ちの資金で食いつないだものの、リストラされたことによって、あることに強い抵抗感を抱いてしまったのです。それは「雇用されること」です。
また再就職しても同じように雇用されていたのでは、同じ結果になってしまう可能性があります。私は身をもってリストラされることの恐怖を味わってしまいました。
雇用されて給料のみに頼るということに恐怖を覚えた私は、会社に勤めるという形でなく、なんとかひとりで仕事を得て生きていけないものかと、当時住んでいた東京にある6畳一間のアパートで考えていました。つまり、フリーランスで仕事が取れないか、ということです。
資格がフリーの活動に方向性を与えてくれた
ところが、考えれば考えるほど自分自身があまりにも何も持っていないことに気がつきました。お金もない。人脈も当然ない。社会人経験はたったの1ヶ月……。ビジネスマナーもろくに知らない状況。フリーランスで仕事をするにも、営業力がないどころか営業をしたこともない。
こんな何もない状態で、いったいどのように生きていけばいいのか。そんなとき、たったひとつだけ自分の武器に気がついたのです。
それが「資格」です。
幸いにも大学3年のときに取得していた「行政書士」という資格をもとに、フリーランスで活動することが可能な状態でした。何もなかった私に、資格が仕事の方向性を与えてくれました。この「仕事の方向性を持てる」ということは想像以上に大きいものです。
たとえば、独立起業やフリーランスで活動したいという気持ちだけがあっても、多くの方は自分自身の方向性すら決まりません。いざフリーランスで動こうと決意しても、方向性が決まらないことが多いのです。その点では、最初から仕事の方向性が持てる「資格」というのは、フリーランス初心者にはもってこいなのです。もちろん、使い方を間違えると大失敗してしまうので、そこは気をつける必要がありますが。
1年で月収100万円を突破
このような経緯があり、私は資格を使ってフリーランスで活動することをまわりに宣言。しかし、まわりの人は「行政書士で独立開業? 23歳の若造がそんなことできるわけがない」と、きわめて冷ややかでした。確かに、最初のころはうまくいかないこともあったのですが、フリーランスで活動することを宣言して約1年、まわりの評価が変わってきました。
月収は100万円を突破。上場企業から講演依頼もあり、処女出版が決定。これらは戦略的に資格を使った結果ですが、想像以上の結果となりました。実のところ、合格率が数パーセントの難関資格に合格することよりは、資格で収入を上げることのほうがずっと簡単です。簡単だからといって楽ではありませんが、戦略的に資格を選び、向上心があって勉強熱心であれば、人生を逆転できることは既に私が証明しています。
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横須賀 輝尚
士業専門の経営コンサルタント。2007年に日本では初めてとなる士業向けに経営スクール「経営天才塾(現LEGALBACKS)」を創設し、のべ全国3,000名以上の士業から相談を受け、相談件数は優に2万件を超える。主な著作に『会社を救うプロ士業 会社を潰すダメ士業』(さくら舎)、『資格起業BIBLE』(技術評論社)などがあり、25冊20万部超の著者。2023年から士業のための生成AI・ChatGPT活用研究を開始。最新刊『「ムダ仕事」も「悩む時間」もゼロにする GPTsライフハック』を2024年11月に技術評論社より刊行。週刊ダイヤモンド、毎日新聞などメディア掲載も多数。
X(旧Twitter) : @yokosuka_ai
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編集部より:この記事は「シェアーズカフェ・オンライン」2025年4月30日のエントリーより転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はシェアーズカフェ・オンラインをご覧ください。