資格で成功できる人とできない人の残念な差(横須賀 輝尚)

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大企業に勤めていても副業が推奨される今、起業に興味を持つ人は増えています。そんな中、常に注目されているのが資格の取得。なにもないところから資格を使ってどう稼ぐのか? 資格を取ることで人生を逆転させた、経営コンサルタントで士業(特定行政書士)でもある横須賀輝尚氏の著書『ごく普通の人でも資格を取ってきちんと稼げる本』から、再構成してお届けします。

資格で成功できる人と成功できない人

同じ資格を持っていても、成功している人とそうでない人がいます。私と同じ行政書士を持っていても、まったく仕事が取れず廃業してしまう人もいます。この違いはいったいなんなのでしょうか。

ひとつは、資格を取ったら「資格がなんとかしてくれる」と思っているから。こういう人がまだまだ多いのです。

「行政書士を取ったのですが、これで食べていけますよね?」

そんなのわかりません。資格は使い方によっては絶大な力をもたらしてくれますが、自分がどうしたいという戦略がなければ効果は半減以下になります。

資格を取ってどのような状況を実現したいのか? そういったことを考えて活動していかなければならないのです。

ここが、資格の恐ろしいところで、無意識に「不成功マインド」がつくられてしまっています。資格を取って成功できないほぼ100パーセントの人が、この不成功マインドに陥ってしまっていますので、このマインドは完全に取り除く必要があります。

もうひとつ。資格を適当に選んでいることも成功できない理由なのです。要は、やりたくない資格を取ってしまっているということ。

「そんなことってあるの?」と思われるかもしれませんが、実際には少なくありません。資格系予備校のパンフレットの「年収1,000万円確実」といううたい文句をそのまま信じてしまったり、動機が「その資格の仕事をしたい」ではなく、「独立起業」が目的だったりすると、「自分がやりたい仕事」を選べていないため、モチベーションが上がらないのです。

よく考えて見れば当たり前ですが、自分がやりたくないことは、当然やる気が上がりません。

最後にもうひとつ。やはり戦略がないこと。私は、資格を選ぶ段階にある方、または資格取得後にどうしていいか悩んでいる方から相談のメールなどをいただくと、必ず「資格を取ってから、どういう状況を実現したいのですか?」と聞きます。

実はほとんどの場合、これに答えられないのです。つまり、自分の未来設計ができていない。ですから、資格を取ってからも宝の持ち腐れになってしまうわけです。

資格は取る前から戦略を練る必要があるのです。

「資格を取って転職」は本当に成功できる?

資格に関する別の落とし穴として、資格と転職の関係についてお話ししておきましょう。「転職に有利」とされる資格もたくさんありますが、本当に転職に有利なのでしょうか。

たしかに転職先に「簿記検定2級以上」や「TOEIC700点以上」などの条件があれば、当然転職にも有利になります。ところが、こうした条件提示をしていない会社でも、資格を持っていることは有効なのでしょうか。

スキル資格もステータス資格も自分自身の能力を示します。ですから、能力の高い人間として認められる可能性は高いと言えます。

しかしながら、私も人を採用する立場の人間であり、その立場から言わせてもらうと、実は人事担当だからといって資格に詳しいわけではないのです。

資格を持っていることでわかるのは、「なんとなく能力が高いんだろうな」ということです。むしろ、気になるポイントは「その資格があることで、何ができるのか? どんな結果を会社にもたらしてくれるだろうか?」。こちらのほうが重要で、さらにそのことを面接で伝えるコミュニケーション能力が必要であり、ただ黙って履歴書に掲載しておけば通るわけではありません。

資格を持っていることで、自信はつくと思います。さらに面接で「資格持っているんですね。すごいですね」と言われればうれしいでしょう。

しかし、「では、弊社にどんなことで貢献できますか?」と聞かれたときに答えられなければ、資格の効果は半減してしまいます。逆に「役に立たなかった」と思ってしまうでしょう。

そうなると、資格を取ることでできた自信までもなくしてしまうでしょう。しかし、その自信を失った理由は資格にあるのではなく、「資格をもとに自分をアピールできない自分」にあるのです。

たとえば、同じ「ソフトウェア開発技術者」でも、自分のITスキルを事例をまじえて紹介できる人と、ただ資格持ってますと言うにとどまる人では、印象がまったく異なります。

ですから、転職・就職の面接の際にも、資格の有無や差よりは、いかに自分をうまくアピールできるかのほうが重要です。月並みな言い方ですが、「資格を生かすも殺すも自分次第」なのです。

転職というのもひとつの選択肢ですが、私は、やはり最終的にはフリーランスで動くための準備をしておくべきだと思います。転職にも有利である面もあり、転職を否定するつもりはありません。「資格を取って転職すれば収入が上がる」という可能性はありますが、だからと言って、それが「安泰」ではありませんので、どうかご注意を。

横須賀 輝尚 パワーコンテンツジャパン株式会社 代表取締役/特定行政書士
士業専門の経営コンサルタント。2007年に日本では初めてとなる士業向けに経営スクール「経営天才塾(現LEGALBACKS)」を創設し、のべ全国3,000名以上の士業から相談を受け、相談件数は優に2万件を超える。主な著作に『会社を救うプロ士業 会社を潰すダメ士業』(さくら舎)、『資格起業BIBLE』(技術評論社)などがあり、25冊20万部超の著者。2023年から士業のための生成AI・ChatGPT活用研究を開始。最新刊『「ムダ仕事」も「悩む時間」もゼロにする GPTsライフハック』を2024年11月に技術評論社より刊行。週刊ダイヤモンド、毎日新聞などメディア掲載も多数。
X(旧Twitter) : @yokosuka_ai

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編集部より:この記事は「シェアーズカフェ・オンライン」2025年5月19日のエントリーより転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はシェアーズカフェ・オンラインをご覧ください。