60年前の水道管が破裂し大阪市内の国道が冠水:全国的に老朽化が社会問題に

7月5日午後、大阪市東淀川区の国道479号線「大隅1」交差点で、地下の工業用水道管が破裂し、大量の水が噴き出して道路が冠水しました。警察と大阪市水道局が現場に対応し、交通規制が敷かれました。水は約20メートル四方にわたり広がり、複数の路面亀裂も確認されています。

破損したのは1964年に設置された直径60センチの工業用水道管で、周辺の工場5軒が断水しています。一方で、家庭向けの水道には影響がなく、濁水や浸水、けが人なども確認されていません。水道局は5日午後8時ごろには止水作業を完了し、6日中の通行規制解除を目指して復旧作業を進めています。

日本では、水道の普及率が98%を超え、水道管の長さは全国でおよそ74万キロに達しています。しかし、高度成長期に敷設され耐用年数を過ぎた古い水道管の老朽化が深刻になっています。

ことし5月に大阪市城東区で発生した水道管の破裂は、約60年前に敷設された強度の高い「ダクタイル鋳鉄管」で起きました。現場周辺は水分の多い土壌で、腐食が進みやすい環境だったとみられ、長年の使用により経年劣化が進んだと考えられています。

2025年6月時点で、全国の水道管の約2割、約17.6万キロが法定耐用年数である40年を超えており、老朽化が深刻な社会問題となっています。これらの多くは、昭和30〜40年代の高度経済成長期に整備されたものです。しかし、水道管の更新率は年間わずか約0.65%にとどまり、このままのペースではすべての水道管を交換するのに130年以上かかるとされています。

参照:水道管の老朽化問題が全国で深刻化!自治体の課題と対応策を解説 ジチタイワークス

大阪市水道局は、漏水による事故を防ぐため「更新」と「日常管理」を組み合わせ、しっかりと維持管理を行っていますが、対応には限界があるようです。

現場は住宅やビルが立ち並ぶ地域で、水道局は「多大なご不便をおかけしていることをお詫びします」とコメントしていますが、全国の更新率を見る限り、大阪だけの問題ではないようです。