「レストラン・ケイ」、43回目の幸福。年末に来損なって、1年とひと月ぶり。
あまりのおいしさに、涙が出る。

びっくりするほど巨大でおいしいラングスティヌ
圭くんが使う食材の中で、一番のお気に入りが、この、スコットランドから届く手長海老。箱の中、1匹ずつ区切られた空間に、きれいに縦になって、エビ同士がぶつからないようになって、運ばれてくる。
最高の食材 x 最高のシェフ = 至福の美味
アミューズ3品で、すでに感涙もの。グジェールのパリパリはいつも以上に軽く焼き上がり、サーディンタルトはバランス見事、初めましての黒トリュフマカロンは甘く芳しい。
”ここで帰っても十分満足ですねー”、と、2年ぶりに圭くんの美味を食べる知人と、感嘆。





マカロンの色がシックで、メラノの模様を引き立てる

セドリック・カサノヴァの、圭くん用オリーヴオイル
すっごくおいしいのだけれど、オイルもバターもほんの少しで我慢
圭くん風、トロ&カヴィアの手巻き寿しは、味はもちろん温度のコントラストも魅力的。
サラダはいつもながら完璧。ほんと、毎週食べられたらいいのにね、これ。




芳醇だけどキリッとした感もある素敵なシャトーヌフ、ルーサンヌとクレレット
サラダにドンピシャ
ニョッキ&黒トリュフ&イベリコハムは、10年の時を経て、新たな局面へ。同じ材料、でも、ニョッキの加熱が進化し、クリームというかソースというかスープが、感動のおいしさ。ペアリングしたシュナンとの相性、目が覚めるよう。
思わず、再び乾杯。



ニョッキ、独立前からお家でも作ってくれてて、毎年冬になると作ってくれる、思い出深い一皿。ルイ・カンズで習ったレシピがベース。進化した加熱でよりコクと旨みが強くなってる。その味が沁みたソースのおいしさに、二人そろって大興奮!お酒が進む進む。
多分初めて食べるアンコウは、びっくりするほど柔らかく、カレー風味オイルやカリカリエプートルがよい味付け。こちらも、マリアージュしたムルソーのオイリー感との相性がとてもよく、ペアリングに惚れ惚れ。


そして、我が愛しのラングスティーヌちゃん。美しくおっきく、きれいな燻香まとって挨拶したあとは、イカ墨&ザル貝&マテ貝の芳醇なソース、鳩肝、チョリソーと。若いジュヴレイのプルミエクリュとぴったり。



ブラインドで、おもいっきり外す
若いのはわかったけど、だからこそこの透明感があまりない紫色は若いピノじゃない、っておもっちゃった…
ラストは、サレール牛。ここでサレール、初めてかな。ガリスと和牛しか食べたことなかったかも。
上品できめ細やかで味わい深いお肉、かんっぺきな焼き加減。
後で聞いたら、圭くん自身が焼いたそう。胡椒とバターの旨みが効いたソースを絡めた牛に、身も心もとろける。相方は、若めのコートロティ。軽いスパイスあるもののフルーティーで、シラーとすらわからなかったー。


全ての肉汁を内包したジューシー加減、わかるかしら?
おいしさに、恍惚
ソースも見事。これぞフランス料理の極意!

セパージュも地域も思いっきり外したコート・ロティ(左)
ソムリエのケヴィンが、”ピノはザクロ色でしょ、シラーはすみれ色でしょ”と指南してくれる


今宵のテーブルを予約できた、世界中からやってきた幸せな人々
デセールは、柑橘ヴァシュランだけど、新スタイル。シュローの甘みがいいな。最後に、さくっ&とろっな黒トリュフチョコレートタルト。

グラニテでお口をさっぱりさせてから

進化したヴァシュラン

あったかなショコラのタルトの上で、メラノたちが強い香りをむんむんはっしてる
相方は、伊那の仙醸の古酒

ショコラとトリュフの組み合わせもいいし、生地とクリームの食感も素敵

お口直しはヴァニラアイスクリーム

圧巻!感動!興奮!
なんとまあ素晴らしい食材力と、研ぎ澄まされた調理の完成度。コヴィッドあけてからの圭くんは、無双状態。
帰りがけ、居合わせたゲストたちは口々に、”こんなおいしい料理、初めてです”、”君がパリにいてくれて僕たちはなんて幸せなんだ”、”言葉にならない、、、”。
ほんとねー。同じ時代に生きて巡り会えて、本当にありがたい。

今夜も最高だったよ、圭くん!
またね〜
行きも帰りも、満月になり始めた月の美しさに見惚れる。
ラファウも、こんなふうに月や星々に見惚れ感動したのでしょうね。帰り道、とっても美しい月の感動と圭くんの料理の感動、どちらが大きいか考えながら、川を渡る。

19時半、西
ついこの間まで18時で真っ暗だったのに、毎日すごい勢いで日が長くなる
もうすぐ春分

19時半、東
こちらも薄明かり。ほぼまんまるの月がとてもきれい
※ 2024年2月、42回目の様子はこちらです。
編集部より:この記事は加納雪乃さんのブログ「パリのおいしい日々6」2025年3月15日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は「パリのおいしい日々6」をご覧ください。






