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2025年7月、日本の政治は大きな転換点を迎えている。自民党の長期政権に陰りが見え始め、野党勢力の再編と新興政党の台頭が顕著になってきた。特に注目すべきは、国民民主党、参政党、そして日本保守党という新たな政治勢力の躍進である。
崩れる岩盤保守層の神話
従来、自民党の強さの源泉とされてきた「岩盤保守層」。しかし、この岩盤保守層は実は「岩盤」ではなかった。安倍政権時代に自民党を支持していた層の多くは無党派層であり、彼らは「自分たちの未来を守ってくれるかもしれない」という期待から自民党を支持していたに過ぎなかったのである。
その期待が裏切られた今、これらの浮動票は参政党や国民民主党など、より具体的な政策を掲げる新興勢力へと流れている。特に「税金を下げてくれそう」という期待感が、有権者の投票行動を大きく左右している。
「消費税をやめてしまえば、あるいは減税すれば劇的に国民の暮らしが良くなる」―この単純明快な主張が、今、多くの国民の心を掴んでいる。しかし、既存政党、特に自民党は「財務省という地縛霊に憑依されている」とも揶揄されるように、増税路線から抜け出せずにいる。
世界的に見れば、経済状況に応じて減税を行うことは決して珍しいことではない。しかし、日本の政治は長年にわたり、財政規律を重視するあまり、国民生活の実態から乖離してしまっているのかもしれない。
劇場型政治の終焉とSNS工作
小泉進次郎氏に代表される「劇場型政治」への期待も、急速に冷めつつある。「国民は劇場型で騙されるほど愚かじゃない」という声が示すように、パフォーマンス重視の政治手法は、もはや通用しなくなってきている。
特に農村部の1人区において、具体的な農業政策を示せない劇場型政治家への失望は深い。「農家に対して期待できる政策が全くない」という批判は、地方の疲弊を如実に表している。
参院選を巡っては、外国勢力によるSNSを使った世論工作の懸念も浮上している。興味深いのは、中国が石破政権の継続を支持する声明を出したという点だ。これは、日本の政治が国際的な情報戦の舞台となっていることを示している。
新たな政治地図の形成
立憲民主党が自民党との連立で増税路線に入る可能性が取り沙汰される中、国民民主党、参政党、日本保守党という新興勢力が、国民の期待を集めている。これらの政党は、既存政党が触れたがらない大胆な政策―消費税減税、規制緩和、地方分権など―を掲げ、支持を拡大している。
特に参政党は、全国の選挙区に候補者を擁立し、「自民党を叩き出す」という明確なメッセージを発信している。これは単なる批判政党ではなく、具体的な政策代替案を持った勢力として認識され始めている証左だろう。
2025年の参院選は、戦後日本政治の大きな転換点となる可能性が高い。自民党の「岩盤」が崩れ、新興政党が台頭し、国民はSNSを通じて主体的に情報を取捨選択するようになった。
政治に無関心でいることは、もはや「昔のままではいられない」時代となった。劇場型政治から政策本位の政治へ、増税一辺倒から国民生活重視へ、そして閉鎖的な政治から開かれた政治へ―日本の民主主義は今、新たな段階へと進化しつつある。
この変化の波に、既存政党がどう対応し、新興勢力がどこまで躍進するか。参院選の結果は、今後の日本の進路を大きく左右することになるだろう。
尾藤 克之(コラムニスト・著述家)
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