サンチェス首相に纏わる「公然の秘密」が表面化
サンチェス首相の妻、弟、党の元および前の組織委員長2人、妻の秘書らがすでに汚職で起訴されている。それでも辞任しないサンチェス首相に対し、今度は彼の岳父、すなわち妻の父親がマドリードを中心に売春宿やゲイサウナで得た資金をサンチェス氏が利用していたことが明るみに出ている。
サンチェス氏が2014年に社会労働党の委員長に立候補した当時、彼には安定した収入がなかった。そこで、妻ベゴーニャ氏の父親が、政治活動に必要な資金を全面的に提供していた。その後、党内の内紛により委員長職を辞任するが、2017年に再び委員長に復帰。その際の党内選挙でも、岳父から資金提供を受けていた。同様に、党首選の際、サンチェス氏および彼を支持するメンバーによる全国行脚の費用も、岳父の資金によって賄われていた。
また、サンチェス氏と妻が住んでいたマンションも、岳父が購入したものである。このマンションは現在、月額2,500ユーロ(約40万円)で貸し出されているという。
ベゴーニャ氏が父親のビジネスを手伝っていた時期もあり、すなわちサンチェス氏は、岳父の売春ビジネスで得た資金を頼りに政界でのし上がったのであった。岳父は当時、1日あたり14万ユーロの売上を上げていたという。もちろん、その大半は現金であった。顧客が証拠を残さないよう売春を現金で利用していたためである。
さらに、各部屋には隠しカメラが設置され、必要とあれば顧客が重要人物であっても、ゆすりの材料として使われていたともいう。
サンチェス氏は2018年、当時のラホイ首相に対して内閣不信任案を議会に提出し、可決させて首相の座に就いた。それ以降は、岳父からの資金は不要となった。むしろ、サンチェス氏は首相としての権力を利用し、高卒でしかないベゴーニャ夫人を大学の教授に仕立てた。大学で講義をさせるためであった。
売春ビジネスを違法化しようとするサンチェス氏
皮肉にも現在、サンチェス首相は売春ビジネスを法的に禁止する法案を議会に提出しようとしている。すなわち、首相の地位に上り詰めるまで岳父の売春ビジネスから金銭的恩恵を受けていたにもかかわらず、首相となった今、その過去を抹消しようとしているかのように映り、彼の行為に批判が集まっている。
サンチェス氏の岳父(昨年死去)が売春宿とゲイサウナを経営し、その収益を娘婿であるサンチェス氏の政治資金として提供していたことは、これまで「公然の秘密」とされていた。ところが、サンチェス首相が道義的責任を取ることなく辞任を拒み続けていることに、野党は強い憤りを感じている。最近の国会では、野党第一党のフェイホー党首がこの秘密を公に暴露し、サンチェス氏が売春ビジネスで得た恩恵を受けながら、そのビジネスを禁止しようとしていると壇上で指摘した。
サンチェス氏が首相でなければ、すでに起訴されていてもおかしくない。彼が辞任しない限り、今後もさらなるスキャンダルが表面化する可能性がある。サンチェス首相の政権に関係する汚職に絡む捜査は進んでおり、首相自身を起訴するに足る証拠が集まることは避けられないだろう。いずれにせよ、彼の政治生命はすでに尽きつつある。






