これを書く日本時間の明け方はまだ開票が続き、最終的な結果は見えていませんが、私の見立ての自公49-42の間に収まりそうです。47程度なら株式市場は織り込んでいるだろうと週末指摘させていただいておりますが、だいたいそのあたりに落ち着きそうで、与党大敗なのですが、衝撃は少ないと思います。行方を見ている限り「まぁ、落ち着くところに落ち着きそうだ」という感じです。
最終の数字を見る前にコメントをするのは憚れるのですが、私の第一印象は自民もさることながら公明が散々であることと参政党はそれほど強敵でもないとみています。また投票率はかなり高いようですが、野党の数が増え、非与党支持の方々の票がばらけたとみています。つまり、見方によっては野党の戦略通りにならず、日本を混迷に陥れていたともいえるかもしれません。
各党党首 各党HPより
では政局です。
石破首相は「辞めない。内閣改造だ」と早々に発言しています。一方立憲の野田氏は不信任案提出を検討しているとされます。参政、維新、立憲は「自公との連立は考えていない」と発言していますが、国民の玉木氏は「石破氏とは連立しない」と発言しています。私はこの発言がキーになってくるとみています。
つまり石破氏が辞めずして秋の臨時国会以降を乗り越えるには当然、味方が必要ですが、最大の可能性であった国民民主が「石破さんとは組まない」と言っているのですから石破政権の国会運営が成立しないことになります。もちろん、ウルトラCとして立憲との連立与党というオプションも絶対にないとは言い切れませんが、野田氏が今更、石破氏と組むメリットがないでしょう。つまり、自民主流派も野党も石破氏と仲良くなるのは全くもって無意味という厳しい囲い込み状態にあるとみています。
よって石破氏の「辞めない」は「辞めさせられる」に変わると思います。思い出すべきは2007年の第一次安倍政権の際の参議院選挙で自民は37議席と1989年の宇野政権の際の36議席に次ぐ史上2番目の歴史的大敗を喫します。ところが安倍氏は「辞めない」というのですが、その後、ひと月強で辞めるに至っています。安倍氏の場合は07年9月10日には「辞めない」と言っていたのに12日に辞任を決めており、サプライズ感が大きかった経緯があります。
石破氏が辞めないとするご本人の心の内を想像するに ①「負けてたまるか」というド根性論が先行 ②アメリカとの関税交渉を中途半端にできない ③中国との関係改善が進んでいる途中 ④他に誰がいる? ⑤まだ開票中だから弱気なことは言えない ということではないかと思います。一方、内閣改造をするといっても石破氏のお友達人事も底が知れているのでインパクトある改造にはならないでしょう。
まずは選挙結果を受けて自民党内での不満が一気に爆発、2番目に野田氏は今回こそ真剣に内閣不信任案を提出する気がありそうだということを踏まえればまずは石破氏の辞任は避けられないとみています。それを受け、次の自民党総裁が首相になるのでしょう。誰になるかは私は以前から申し上げている通りで、一択しか思いつきません。(つまりこれほどの難局をかじ取りできる人は人気のあるなしとは別次元の判断が働くと見ています。)
今回、酷かったのが公明党で斉藤氏の演説は聞くに堪えませんでした。とにかく政策よりも一票、土下座してでも一票という感じで創価学会会員の高齢化とその関連政党という時代は既に役割を終えたと見ています。よって自民党から見れば自民党より早いスピードで劣化が進む公明党といつまでも連立を組んでいるのは長い目で不利です。
現在の自公は共に年寄りにファンが多いのです。現役世代、特に働く世代に焦点を当てた政策スタンスが欠如しています。自公は失われた30年の片棒を担いだといってもよいでしょう。ようやく一部の野党がヤジ党ではなくなりつつあり、政治の成長はみられるようです。一方で自民が野党の特定政党と連立を組む場合、烏合の衆で素人集団の参政党はまだその実力と地盤が固まったわけではなく、連立の対象外でしょう。一番可能性があるのは国民民主で維新も取り込みたいぐらいだと思います。この連立組み換えにより右寄りの参政に対して中道右派の与党、中道左派の立憲、左派の共産という区分仕分けが国民にも理解を得られやすいかもしれません。
アメリカとの関税交渉の行方の判断は正直しにくいと思います。ベッセント氏の来日はトランプ氏による指名であり、当初のヴァンス副大統領ではなく、日本に一定の理解をもつ方との「ふれあい」の機会が生まれました。このひと時を経てベッセント氏がトランプ氏にどう報告するかにかかってくるでしょう。一方、アメリカ側は今回の選挙を相当分析しているはずで石破氏が長く持たないことを織り込んでいるなら直ちに辞任とした方が潔く、展開の可能性がわずかながらも開けるかもしれません。
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2025年7月21日の記事より転載させていただきました。