「いい人」になる前に「お金持ち」になりなさい

世の中には弱い者や困っている人に対して心優しく対応する「いい人」がたくさんいます。ガザ地区の現状に心を痛め、ウクライナの和平を心から祈る。あるいは、経済的に困窮しているシングルマザーを助けたいと思い、難病に苦しむ子どもたちを救いたいと思う。素晴らしい人たちだと思います。

しかし、そんな困っている人たちを支援して助けたいと思った時に必要になるのは「想い」よりもまず「お金」というのが現実です。

支援物資を送るにも、医療活動を助けるにも、気持ちの前に支援に必要なものを手に入れる経済力が必要です。資金力が無ければその想いは残念ながら無力です。

購入資金のサポートだけではありません。自らが現地にいって汗をかいて無償でボランティア活動をしようとしても、現地までの移動や宿泊の費用を自前で負担しなければなりません。

助けたいと思う気持ちは尊いものですが、現実は気持ちだけでは動きません。

であれば、気持ちを寄せる「いい人」になる前に、まずサポートする経済力のある「お金持ち」になることが大切ではないでしょうか。

順番は「いい人→お金持ち」ではなく「お金持ち→いい人」の方が正しいのです。

自分が経済的に満たされていないのに、周囲の人に献身的な活動を続ける人もいますが、世の中はマザーテレサのような人ばかりではありません。

無理をして経済的負担をかけて支援活動をしていても、それはサステイナブル(持続的)なものにならないことが多い。これは私の過去の経験からの結論です。

それよりも「お金持ち」が深く考えることもなく、まずは経済的なサポートをする。その経験の中で自分の与えられた役割に気づき、活動に心の奥から目覚めていく。それが「お金持ち」が「いい人」になっていく瞬間です。

そんな「お金持ち」をたくさん増やしていって、その人たちの中から「いい人」を増やしていく。その方が社会全体として幸せな人が増えていくと思っています。

日本では未だに「お金持ち」というと、悪いことをしている人とか特権階級といったネガティブな扱いを受けています。「お金持ち」の中から「いい人」がたくさん出てくれば、そんな印象も変わっていくことになるはずです。

人助けをしたいと思ったら、まずは自分が経済的に豊かになることです。

人道的な支援の必要性を声高に叫びながら口だけで自分では何もできない人より、何も考えてなくても取り敢えず黙って経済的な支援をする人の方がずっと魅力的で社会に貢献していると思います。

Tempura/iStock


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2025年7月18日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。