やる気が続かないのは「甘え」じゃない

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「最近、何をやっても続かない」
「すぐに飽きてしまう」
「自分は意志が弱いのかも」

そんな悩みを抱えている人は少なくないでしょう。新年に立てた目標も、春になる頃には忘れてしまい、自己嫌悪に陥る。そんな経験、誰にでもあるはずです。

でも、ちょっと待ってください。それは本当にあなたの「甘え」なのでしょうか?

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やる気は「出す」ものではなく「出る」もの

多くの人が誤解していますが、やる気は努力して出すものではありません。特定の条件が揃ったときに、自然と湧き出てくるものなのです。

その条件とは何か。それは「報酬の予感」です。

脳は、何かいいことが起きそうだと感じると、ドーパミンを分泌します。宝くじを買うときのワクワク感、好きな人からのLINEを待つときのドキドキ感。これらはすべて、ドーパミンによって引き起こされる感情です。

つまり、やる気を出したければ、「がんばる」のではなく「報酬を設定する」ことが重要なのです。しかし、ここで問題があります。現代社会では、多くの目標が長期的で、すぐに報酬が得られません。ダイエットも、資格取得も、スキルアップも、結果が出るまでに時間がかかります。そこで有効なのが「スモールステップ戦略」です。

例えば、「3ヶ月で5キロ痩せる」という目標を、「今日は階段を使う」「明日は一駅歩く」という小さな行動に分解します。そして、それぞれの行動に小さな報酬を設定するのです。

階段を使ったら好きなコーヒーを飲む。一駅歩いたら、お気に入りの音楽を聴く。こうした小さな報酬が、脳に「成功体験」として認識され、次の行動への意欲を生み出します。

自分に優しくあることの大切さ

「気合いが足りない」
「甘えるな」
「もっと本気を出せ」

こうした言葉は、一見すると励ましのように聞こえます。しかし、脳科学の観点から見ると、これらは逆効果でしかありません。

なぜなら、こうした否定的な言葉は、脳にストレスを与え、コルチゾールというストレスホルモンを分泌させるからです。コルチゾールが増えると、判断力が低下し、記憶力が悪化し、そして何より、ドーパミンの分泌が抑制されます。

つまり、根性論は文字通り「やる気を殺す」のです。

「続かない自分」を責める前に、まずは自分の状態を客観的に見つめてみましょう。最近、無理をしていませんか? 睡眠は十分にとれていますか? 適度な運動や気分転換はできていますか?

継続できないのは、あなたの意志が弱いからではありません。脳の仕組みを理解し、小さな成果を積み重ね、ストレスを適切に管理する。これが、本当の意味での「継続力」なのです。

今日から、自分に少しだけ優しくなってみませんか。それが、明日も続けられる自分への第一歩かもしれません。

尾藤 克之(コラムニスト・著述家)

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