「どんな批判を受けようとも一定の支持者がいる限り社会にお仕えすることに意味がある」という空気を作ったのは兵庫県知事の斎藤元彦氏。もちろん、氏のケースは非常に複雑で県内部の事情も絡み表面的事象だけでは口出ししにくかったと思います。
では伊東市の田久保真紀氏はどうでしょうか?彼女の場合、学歴詐称が実質的にバレてしまったのに態度が二転三転し、素直ではなかったことと卒業証書らしきものをチラ見せしたそれは何だったのか、つまり公文書偽造ではないかとされる山場をどう切り抜けるのかであります。「学歴詐称ぐらい許すさ、それよりも図書館建設反対を進めてほしい」という実に寛大な心を持つ市民に支えられているのでしょうか?
では本丸、石破茂氏は現在の難局をどうかわすのか、であります。私の予想は外れました。まさか自民党両院議員懇談会と臨時国会をスルっと通過し、やる気満々の石破首相に私は「なんでだろう?」と思うのです。もちろん、石破氏擁護派が一定数いるのはわかっています。もしかしたら石破下ろし派は声がデカいだけで過半数ではないのかもしれません。そこは8日にも開催されるであろう両院議員総会で数字が見えてきそうです。報道の様相からは両院議員内では退陣を迫る声が過半数を超えていると理解しています。

両院議員懇談会 石破首相インスタグラムより
ただ、両院議員総会で総裁職から引きずりおろすことができないことが「判明した」という報道を見るにつけ「今さら何を言っているのだろう、この人たちは」と思います。自民党議員らが会則そのものを十分理解していないということなのでしょうか?
両院議員総会は攻防戦になるのだと思いますが、最後に石破氏が「ご意見は重く受け止めますが、引き続きよろしく」といえばそれで終わりかもしれません。
ただ世の中それほど甘くもないのです。まず、野党は戦略を変えるチャンスだとみています。つまり野党の足並みが揃わずとも自民党からGreat Dealを思いっきり引き出しやすいともいえるのです。野党であるにもかかわらず、今までに経験したことがないような要望を叶えてくれるのです。野党としては自分たちの言い分が通るならば「与党のような野党でもいいか。あとは文句だけ言っていれば良いし。」ということにならないでしょうか?自民党からみれば「いいなり」であります。
ところで先の参議院選でも分析されたように「昔の名前で出ている」政党、つまり自民、公明、共産各党は軒並み票を落とし、立憲もさえませんでした。一方、新興政党が「こっちの水が甘いぞ」と誘い水をし、うまく誘導することができたとも言えます。これは日本人の世代交代、そして社会体質の変化を物語っているのかもしれません。
特に自民党のように巨大組織になると組織内に右から左まで色々な考え方の方がいるし、「あなたに投票してもあなた、実際には何してくれるの?駒の一人?」になりかねないのです。ならば新興政党で若くして「俺、委員長になりました」ぐらいの方が経験も積めてよいのでしょう。
次に諸外国が見る日本です。アメリカや中国などは日本研究が進んでいます。その中で特に気になるのがアメリカが石破政権にどのような評価を出しているのか、先行きをどう見ているのか、であります。私の見立ては「日本は個別企業や個々案件について粘り強くやり抜くチカラを持っているが、日本全体のグリップが落ちている。特に政権の指導力が退化し、リーダーシップを取れないことが将来政治的不安要素となる」と考えているように見えます。特に安全保障は疑問視しているような気配を感じます。
もちろん、世界どの国を見ても政権運営は非常に難しくなっています。韓国や台湾も分裂化していますし、フランスなど一部の欧州の国でもかろうじて体裁を維持しているという感じでしょうか?その点、中国の日本研究チームは今のところ正しい分析をしていて「イシバ以外に誰がいる?」という推し方はなるほど深い読みをしたなと思います。要は自民党の総裁候補とされる面々はどれもなじみがあるけれどこの難局をうまく舵取りして政権を引っ張れる強さは誰が持ち合わせているのだろうというわけです。
とはいえ、弱小政党の党首に首相をやらせるほどまだ日本は寛容ではない(細川政権の失敗はまだ覚えている人が多い)わけです。私は現実的には元首相経験者ぐらいの手腕をもって対応するのが現実的だと感じるのです。ただ、あり得ない候補を上げるなら小池百合子氏は面白い切り口になると思います。(えーという声がうるさいほど聞こえてきそうです。ただ、あれぐらいの度胸と面の皮の厚さが今の時代には必要かもしれません。なんだかんだ言いながら難しい人が多い東京都をうまく引っ張っている実績はあるのです。)
今日のタイトル、「石破氏は本当に辞めないのか?」ですが、粘ってもさほど長くはないと思います。石破氏の利用価値よりも少数与党という機能不全状態に対する国民の不満増大や自民党決裂の危機に陥ることがより怖いと思います。石破氏はそこまで敵を作ってでも首相の椅子にしがみつきたいのか、その心理はやや歪んでいるように感じます。
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2025年8月6日の記事より転載させていただきました。






