高級飲食店のカウンターで遭遇する「困った人たち」

Irina Komaritskaia/iStock

お鮨や和食のお気に入りのお店に行く時はカウンター席を予約するようにしています。

カウンター越しの大将との会話も楽しいですし、作っている過程を見ることもできて、何より出来立てをすぐ食べられるからです。

随分前から予約して楽しみにしていたそんなカウンター席での食事が、たまたま隣に座った人によって残念な時間になってしまうことがあります。

例えば、隣席が常連であることを誇示してイキるマウント客だったりする場合です。

大将に自分とお店のこれまでの付き合いのストーリーを語り続ける。大将も邪険にはできず話に相槌を打つしかありませんが、他の客との会話もままならずお酒の注文も取れません。そんな状況が理解できないらしく、1人だけの大きな声が店内に響き渡っている。

どうやら、自分がいつも話の中心にいないと気が済まないタイプのようです。

あるいは鮨店でネタの産地をあれこれ細かく聞いて、自分のうんちくを語り始める人もいます。質問したいと言うより、自分の知識をひけらかすのが目的のようにも見えます。

飲食業界のプロに素人が専門知識をひけらかしたところで、むしろ底の浅さが明らかになるだけです。見栄は張らないほうが良いでしょう

そんなお店との距離感が近い客もいれば、逆にお店での食事をそっちのけにして仕事の商談を始める人たちもいます。

話に夢中になっていてお料理に手をつけず、お店の人に言われて慌てて食べたりしていては大将も白けます。

大切なビジネスなのかもしれませんが、この手のお店ではせめて食事をゆっくり味わって、その後でカフェやバーにでも行って具体的な商談をしてほしいものです。

更には、同業の他のお店の批評をする人も見かけます。「あそこは美味しかった」「〇〇は味が落ちた」などと有名店をあれこれ評価する。予約困難店に行っていることを自慢したいのかもしれませんが、これもやめた方が良いでしょう。

お店の人も自分のお店も他のお店で同じように批評されていると思えば、きっと気分の良いものではありません。

貸切ではないカウンター席の隣には知らない客が座っています。会話を交わさないとしても隣の様子は気になるものです。

チェーン店の居酒屋ならともかく、客単価が3万円を超えるようなお店には「非日常」を味わいに来ている人が多くいます。単に美味しいものを食べるだけではなく、その場の雰囲気も味わい気持ちよい時間を過ごしたいと思っています。私もその1人です。

見知らぬカウンターの隣の人も一期一会で時間を共有しています。そんな周りの人にも気配りできるのが大人の対応です。

お金を払えば何をしても良いと思っている人が増えてきているのは、なんとも寂しいものです。


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2025年8月日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。