米国では、いま大卒の若者が「就職氷河期」のような厳しい状況に直面しています。特にIT大手を中心に採用が冷え込み、さらに生成AIが新卒社員の仕事を代替し始めたことで、せっかく高いスキルを身につけても就職先を見つけにくくなっています。
米国ではもう「AI氷河期」がやってきた。
日本では中高年の雇用を守って新卒採用を絞るので、コンサルや銀行員やプログラマは、ほぼゼロになるんじゃないか。 https://t.co/duFcQRHPMO— 池田信夫 (@ikedanob) August 17, 2025
コロナ禍以降、大卒者の失業率は労働人口全体より高くなり、その差は過去最大に広がりました。とりわけコンピューターサイエンスや工学を学んだ人の失業率は高く、これまで「就職に強い」とされてきた学位の価値が揺らいでいます。

f11photo/iStock
背景にはAIの急速な発達があり、プログラミングや定型業務といった新卒が担ってきた仕事の多くがAIで代替できるようになったことが大きいです。企業も経済や政策の不透明さから採用を控えており、新卒の雇用環境はさらに厳しくなっています。
米国で就職氷河期到来。生成AIが新入社員の仕事を代替するようになり、マイクロソフトやグーグルなど一流企業で働くことを夢見てきた人材が行き場を失っているらしい。https://t.co/NBTea0P4hx
— 荒川和久/独身研究家/コラムニスト (@wildriverpeace) August 17, 2025
こうした変化は大学の存在意義にも影響しています。かつては高い授業料を払って学位を得れば、高給や安定した職に結びつくと考えられてきましたが、いまではその保証が崩れつつあります。
米国の大卒者の失業率が5.8%に達し全体平均の4.2%を大きく上回っている。深刻な景気後退に至っていないが若年層の雇用環境は悪化している。AIの進化がホワイトカラーの置き換えを加速させており過去の景気後退期以上に就職環境は厳しさを増している。真の「就職氷河期」はこれから本格的に始まる。 pic.twitter.com/K7nybaLXZW
— 朝倉智也(Tomoya Asakura) (@tomoyaasakura) June 10, 2025
ただし、すべての仕事がAIに置き換わるわけではありません。経験や判断が必要な暗黙知に基づくスキルはAIが完全に代替できず、建築の施工管理や大工、ロボティクス開発などの分野ではむしろ人手不足が目立ちます。
AIが発達しまくる
↓
プログラミングとかマーケみたいなデスクワーク系の仕事において、"見習い系" "未熟な人" がいらなくなる
↓
新人を取る理由がなくなる
↓
収縮氷河期が再来
↓
流れは止まらず、加速し続ける…— 成田 修造 / Shuzo Narita (@shuzonarita) August 17, 2025
一方、日本では中高年の雇用を守る仕組みが強いため、AIで置き換え可能な中高年ホワイトカラーが解雇されにくく、その分、新卒採用が抑えられる傾向があります。結果として、日本の若者は米国以上に厳しい就職環境に直面する恐れがあります。
日本企業はAI化に立ち遅れてるから、採用への影響も遅いだろうと思ったら大間違い。
採用は今後40年の固定費。中高年はAIで代替されてもレイオフできないので、人事はリスクを避けて新卒を採らず、非正規で埋める。それが1990年代に起こったことだ。— 池田信夫 (@ikedanob) August 17, 2025
企業は新卒採用をリスクとみなし、非正規雇用に切り替える可能性が高いのです。さらに日本はAIの活用度や計算能力でも主要国に大きく遅れをとっており、この遅れが競争力低下を加速させる危険性もあります。
AIが大卒の壊れかけた就職市場を更に破壊している。従来のOJT的雑務もAIが代替する時代となった。米国では多くの企業が大卒を採用する必要性を感じず、大学卒業=安定職の保証は崩壊している。景気に関係なく新卒就職率は悪化し企業は次世代人材育成の再設計を迫られている。 https://t.co/gnmBNgQ72J
— 朝倉智也(Tomoya Asakura) (@tomoyaasakura) July 29, 2025
つまり、これからの時代を生き抜くためには、AIに代替されにくい分野を見極め、人間にしかできないスキルや経験を磨くことがますます重要になっているのです。
完全雇用の日本も、これから若年失業率(あるいは非正規率)が上がるだろう。
この「AI氷河期」は、1990年代の就職氷河期より長い。雇用が回復するのは、社内失業した中高年の定年後再雇用が終わる30年ぐらい先だろう。 https://t.co/InbYdUrk7V— 池田信夫 (@ikedanob) August 7, 2025






