行ったことも無い国をイメージで捉えると「チャンスを失う」

今月下旬にバングラデシュに出かけることになっています。私が主宰する投資家コミュニティ「資産設計実践会」メンバーと首都ダッカに2年前から建設しているコンドミニアムの確認や、ダッカの不動産マーケットの現状の視察が目的です(写真は2023年2月訪問時)。

バングラデシュはカレーをはじめとするスパイシーで香り高い料理も魅力です。スタディツアーという位置付けですが、観光で出かけるよりもディープなバングラデシュが味わえると思います。

バングラデシュと聞くと多くの日本人は貧困の国というイメージだと思います。確かに日本に比べればまだ経済状況は発展途上段階であり、豊かな国とは言えません。しかし、急速な経済成長によって急速に変貌しつつあります。

日本の援助によって東京の山手線のような環状モノレールも開通して、新しい空港や高速道路などの交通インフラも急速に整備されています。今回も2年前の行った時とは情景が随分変わっているのではないかと思います。

最近は海外旅行に行かない日本人も増えています。円安と航空運賃の高騰が原因ですが、日本人が国内の快適さに慣れ過ぎて、敢えてアジアの新興国には行きたがらなくなったというのもあると思います。

しかし、日本人がアジアの国々に訪問する機会が無い中で新興国は高成長でその姿を大きく変えています。

私が投資先として注目しているフィリピンやカンボジアも現地に出かける度にその変化の大きさに驚かされます。

フィリピンと聞くと未だにパンチパーマの日本人がフィリピン女性を求めて行く場所と思っているかもしれませんが、今やマニラには日本の地方都市を遥かに超える洗練された街が出来て不動産価格も急騰しています。

カンボジアは未だに貧しい子供たち、地雷、ポルポトといったイメージかもしれませんが、プノンペンの中心部には高層コンドミニアムが次々と建ち、スタバのコーヒーは東京よりも高いのに地元の人たちで賑わっています。

行ったことの無い国や少し前に行っただけの国を自分の勝手なイメージで想像すると大きな間違えを犯します。

それだけではありません。新興国に眠っている大きなチャンスを逃してしまうかもしれないのです。

アジアの新興国に対する日本人の偏見や誤解は相変わらず大きいと実感します。

一度出かけて現地のリアルな状況を見れば、その誤解が解消するだけではなく日本の将来に対して不安を感じることになるでしょう。

新興国は低成長でノロノロと歩いている我々日本人を後ろからフェラーリで追いかけてくるような存在です。ぬるま湯に浸かっているいるうちに茹で上がってしまう「茹でかえる」にならないためにも、世界のリアルな姿を直視することが大切です。

jaminwell/iStock


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2025年8月20日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。