オペラ・バスティーユで、アスミク・グリゴリアン♪
今や世界屈指のソプラノになったグリゴリアン。3月にウィーン行った時、私は国立歌劇場でフェデリカ・ロンバルディの「ノルマ」観たけど(これも十分に素晴らしかった)、同じ時期にアン・デア・ウィーン劇場では、グリゴリアンがタイトルロールで、大絶賛されてた。ノルマで力尽きたのか、そのあとしばらく公演キャンセルしてたので、パリの「イル・トリティコ(プッチーニ3部作)に登場してくれるのかちょっぴり心配ではあったけど、昨夜、そりゃ来るよね、と納得した。
22日、”修道女アンジェリカ”、舞台稽古。
前半はまったりしてたけど、後半20分のために全てを温存してました!という感じの、圧倒的なモノローグ。芯がしっかりある太い、と同時にとても感情が細やかで奥深く、とてもドラマティック。うわぁぁぁ、背筋がぞくっとする。舞台稽古なので100%でないでしょうに、すでに圧巻。彼女のノルマ、そりゃすごかっただろうなぁ。サロメも聴きたいし、近い将来、きっとイゾルデ歌ってくれることでしょう。パリかウィーンなら、絶対聴く。
女優さながらの美しさと気品と存在感、表情もいいし、極上♪
舞台稽古なので、指揮者のダメ出しが結構入ってプツプツ途切れるけど(ダメ出し中の暇な時、修道女衣装でヨガやってるグリゴリアンの姿がかわいい)、ラスト20分のグリゴリアンの一人舞台はもちろん一度も止めず本番さながら。
「プッチーニ三部作」は通常、”外套”、”修道女アンジェリカ”、”ジャンニ・スキッキ”の順で上演されるけど、このプロダクションは、ジャンニ、外套、修道女の順。そりゃそうでしょう、あんな圧倒的なソロを聴いた後で、喜劇は観られない。
修道女見る限り、全体の演出&舞台セットはどうかなぁと思うけど、グリゴリアンの声を3作品全てで聴けるだけで、行く価値ありあり!
23日、アスミク・グリゴリアン&「プッチーニ三部作」演出家クリストフ・ロイ」のトークショー。
このプロダクション、22年のザルツブルグで初演されたもので、今回のパリは、当時の歌手がほぼほぼ全員集合しているそう。そして、グリゴリアンとロイはとっても気が合うそう。そりゃ、パリに来てくれるよね。
作品順の変更は、演出家の意向。私たちが昨日感じたのと同じように、あんなドラマティックで圧巻なソロの後、観客は何も聴く気になれないだろう、と、順番変更したそう。
グリゴリアンとプッチーニの関係性(ママのお腹の中にいた時から、ママが歌うマダム・バタフライ聴いていたそう(笑))、舞台稽古の時はほぼ演技せず動物がテリトリーをマーキングするみたいに舞台をうろうろして空間感覚を意識する、役作りについて(というか、常に自分自身が歌っているという意識)など、楽しいトーク。
グリゴリアン、コヴィッド中に”スペードの女王”でパリ・オペラ座デビュー予定だったけど潰れ、今回が満を持しての初登場。パリのオペラファン、5月はグリゴリアン、ベルネームも歌うし、エリナ様のリサイタルもあるので(珍しくウィーンなみの豪華な歌手陣)、狂喜乱舞♪ トークショー終わり、大ファンがブケ贈呈して幸せな雰囲気に包まれる。
公演が待ちきれない&よいひと月をパリで過ごしてくれるといいな。
帰り道、21時過ぎ、春の夕暮れならではの美しさ。
編集部より:この記事は加納雪乃さんのブログ「パリのおいしい日々6」2025年4月24日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は「パリのおいしい日々6」をご覧ください。