来年度予算122兆円超:国債費急増と社会保障膨張で過去最大更新

来年度予算案の概算要求は122兆円台に達し、3年連続で過去最大を更新する見通しです。

最大の要因は長期金利上昇に伴う国債費の急増で、利払い費は前年度比24%増の13兆円超となり、国債費全体は32兆円余りに拡大して予算の4分の1以上を占めています。

厚生労働省は高齢化による社会保障費の増加で34.8兆円を要求し最多となり、文部科学省の高校授業料無償化や農林水産省のコメ増産対策、経産省の中小企業支援、法務省の不法滞在者対策、外務省の偽情報対策など新たな政策課題も盛り込まれており、予算膨張は留まることを知りません。

各省庁が予算を競うように要求を拡大するなか、歳出削減の姿勢は見られず、現金給付や補助金、無償化といった施策が「大きな政府」「高い税金」路線につながるとの懸念も強まっています。

ばらまき的な政策は財政赤字を拡大させ、インフレを促し、実質賃金を押し下げるとの指摘もあります。特に医療制度については、現行の「9割引き医療」が過剰受診を招き現役世代に大きな負担を与えているとして、自己負担を一律3割に引き上げるべきだとの意見や、後期高齢者は緩和医療のみ保険適用とすべきだとの提案も出ています。こうした社会保障費の削減によってこそ保険料を下げ、手取りを増やせるとの見方もあります。

一方、現在の緊迫する国際環境の中で、防衛省の予算の伸び率は名目で1%強程度にも関わらず、他省庁の予算よりもこちらを問題視するような報道はバランスを欠いています。

また、金額を示さない「事項要求」も多く、最終的な要求額はさらに膨らむ可能性があり、より厳しい査定が求められています。