先月末は週末の日曜日で、東京の夏休み最後の日ということもあってか観光地はどこも大混雑のようでした。

東北では土曜日には大曲の花火大会があったということで、近辺のホテルはどこも宿泊料金が大幅にアップしていました。私が泊った秋田のホテルも通常の2倍程度まで料金がアップ。それでも満室で泊れない人がいたようです。
今やホテルの宿泊料金は、需要に応じて価格変動する「ダイナミックプライシング」が当たり前になっています。
大曲の花火大会の翌日の日曜日は盛岡から仙台経由で塩釜に向かったのですが、仙台駅周辺も地元の人や観光客で大混雑でした。
困ったのは駅で荷物を預ける場所が無いことです。仙台駅前のコインロッカーは私が見る限り全てが使用中になっていました。
有人の一時預かりサービスも利用者が殺到しているようで、受け入れを中断していました。結局、どこも預ける場所がなく荷物を持ったまま移動して1日を過ごしました。
コインロッカーの価格は小さなもので300円、大きなスペースでもせいぜい600円。こちらはホテルの宿泊料金と異なり固定価格です。
普段は利用者も少なく、稼働率が低いコインロッカーが週末やイベントの重なるシーズンになると急激に需給が逼迫します。
であれば、コインロッカーにもダイナミックプライシングに導入してはどうでしょうか?
最近のコインロッカーは電子式になっており、価格の変更はそれほど難しくありません。
例えば、通常300円のコインロッカーを週末は600円、お祭りや年末年始といったシーズンは、1200円というように変動させれば、コインロッカーの運営会社の収益もアップします。
利用者も高いお金を払ってでも利用したい人に使ってもらえるようになり、需給コントロールが可能になります。
このような提案をすると「金儲け主義」「金持ち優遇」といったステレオタイプな反応する人がいますが的外れなリアクションです。
高くてもニーズがあるものをミスプライスで安く提供し、需要をさばき切れない方が不公平で問題です。
今やアミューズメントパークでもホテルでも飛行機のフライトでもダイナミックプライシングは当たり前になっています。
高級飲食店ではオークションサイトで予約席を高く販売するお店まで出てきています。
仙台からの帰りの新幹線もダイナミックプライシングが充分作動しておらず、指定席は全て満席でした。こちらも指定席の価格をさらに高価格することで需給調整が可能になると思いました。
ダイナミックプライシングを導入することによって、需給の平準化が実現します。
多くの人が、同じ時期に集中して旅行に出かけたりするのではなく、分散して鉄道インフラや宿泊施設などを利用してもらうためには、価格調整が重要な役割を果たします。
ダイナミックプライシングは単なる拝金主義ではなく、限られた資源の有効活用のために有益なものです。
固定料金で提供されている様々な分野でももっと普及してほしいと思います。
編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2025年9月1日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。






