若い頃一度、アルマーニの服を着てみたくて、店で試着したら、一緒に付き合ってくれた人が爆笑したのを覚えています。アルマーニのように欧州のブランドの服は欧米の人のようにすらっと背が高く、濃い顔をした人が着れば引き締まるので似合うのです。私のようにちんちくりんで凡庸な顔だと貸衣装というか、「ひろとアルマーニの見事な不調和」でコントにもならないのであります。そのアルマーニさんがお亡くなりになりました。独立路線を貫いてきたのですが、ご本人は亡くなる前に売却OKを提示していたそうなので大手の傘下に行くのでしょうか。故人の名前のブランド名も冴えないのでかなり刷新されるのでしょう。ひろにも似合う服を期待しましょう。
では今週のつぶやきをお送りします。
利下げ確定か?やっぱり冴えなかった雇用統計
9月17-18日に開催されるFOMCにおいてその政策決定で最も影響する指標の一つである雇用統計は先月、新しい統計局長が着任したので、その数字の「出来栄え」がその判断を大きく左右するという趣旨のことを申し上げました。事前の民間の雇用データが冴えなかったので、期待はしていなかったのですが、本日発表になった8月度雇用統計は事前予想7.5万人増に対してわずか2.2万人増にとどまりました。また失業率が4.3%と2021年来の「高い水準」となりました。個人的には9月の利下げは確定的だとみています。
ただ、市場は既に0.25%の下落は織り込んでおり、むしろ、その先を見通す展開になっています。つまり年内にもう一度下げる余地を残すか、であります。パウエル氏は先行きのことはほぼ述べませんので18日の記者会見からは何も様子は伺えないと思います。あくまでもアメリカ経済の行方と関税の影響を自分で見通すことでしか先行きの予想はできません。ただし、推論するネタは結構転がっているもので、そこから類推は出来ます。例えば中国から北米向けの船便の運賃が大きく下がっていることが何を意味するか、11-12月の消費戦線の事前予想が芳しくないことからもある程度の方向性は見て取れます。
では株価はどう反応するでしょうか?本来、金利が下がるとは景気が良くないという意味なのです。それなのに株価が上昇するのは「今より経営環境が良化する」ことを囃すからです。個別で見るとスポーツウェア大手のルルレモンが関税などで売れ行き見通しが暗かったことで、本日株価が20%下落となるなど消費関連はまだら模様が見込まれます。他方、不動産や建築には住宅ローンや商業不動産ローンの金利低下でプラスの効果があります。ただ以前から申し上げているように金利の上げ下げは通常時の経済全般の循環事象であり、秋に起こりやすい「経済クラック」は別の次元ですのでここには引き続き気をつけたほうが良いかと思います。
自民党の内乱、その行方は?
9月8日に自民党の「総裁選の可否を決める選挙」が記名式でわずか5時間程度の枠の中、原則本人による投票という形で展開されます。この記名式短時間本人投票方式を決めたのは選挙管理委員会の逢沢一郎委員長。氏は石破氏に近く、その真意は「記名式ならビビるだろう」。ですが、今の様相は真逆で「反旗を翻され」、「この指に止まらなければ反逆者」扱いされそうな勢いとなり逢沢氏の戦略は外したように見えます。
「解党的出直し」であればこそ、誰がそのリーダーシップをとるのか明白にすべきです。石破氏が総理の座にしがみつき、下の者だけが汗をかくという意味不明の事態を避けなければなりません。石破氏が男なら総裁選で自らがもう一度立候補すればよいのです。私は絶対に負けるとは言い切りません。1-2割程度の勝ち目はあると思います。なぜなら対抗馬が絞り込めないからです。石破氏は挑戦を受けて立つ、というスタンスでよいのです。それで負ければスッキリするでしょう。何を考えて解散を口走ったのかわかりませんが、それは総裁選後に決めればよろしいことです。
その解党的出直しですが、マーケティング的にはまず自民党がわかりにくいことを解消すべきです。つまりいろいろな考えの人がいることは自民党支持者を増やすには都合がよさそうですが、党内にミニ与党とミニ野党があるようなものでわかりにくいのです。主流派ではない人をスピンアウトしたうえで、増えてきた野党との連携を再構築するのはアリでしょう。例えば小泉さんは維新の吉村さんと近いとされます。ガラガラポンができる人がいるかどうかです。あと、「自民党」の名前を変えるというのもありです。昔の名前じゃもう流行らないのです。政治は流行ではないと叱られそうですが、若い人の政治への興味が伸びてきている事実を踏まえれば「おじいちゃんとおばあちゃんの自民党」じゃダメだと思います。
小泉進次郎氏・石破茂氏・高市早苗氏インスタグラムより
マツタケ、食べたことありますか?
「マツタケ食べたことありますか」の質問に「永谷園のあれでしょ」と答えたのは私です。ずいぶん昔の話です。今の若い方に聞いたら「永谷園ってなに?」と言われるかもしれません。「マツタケってシイタケのでかい奴でしょ」と言われかねないです。実は私の会社はカナダ産のマツタケを日本向けにギフト用で販売させていただいています。お前はそんなこともしているのか、と言われそうです。来週、京都で大事な打合せがあるのですが、それを手土産で持っていくか考えています。「日本最高峰の京都産が取れるところに外来種のマツタケ、何を言うのか?」と怒りを買いそうですが。
というのは日本では東北からマツタケの収穫が始まるのですが、現時点ではほぼなし。暑すぎるのと雨が降らなさすぎが理由です。もちろん、今後は天候次第ですが、そもそも日本産マツタケの収穫は激減しており、1960年と比べて70分の1だとか。それに山に行けばクマがいるし、サルも好んでマツタケを食べます。カナダ産は出始めたところで順調だと報告を受けています。ではマツタケは旨いものか、と言われると風物詩であってたくさん食べるものではないのでしょう。キャビアみたいなものです。ただ料理のオプションはいろいろあり、焼いてもご飯に入れてもパスタに入れても吸い物や鍋、すき焼きでも構いません。
扱う側の問題は虫。生き物なので虫はいます。サバにアニサキスという寄生虫がいるのと同じです。ただ、マツタケの虫はキノコバエの一種で毒はありません。普通はスライスした時、虫がいれば塩水で落とす、これで結構です。当然気がつかずに食べてしまうこともあると思いますが、生で食べるわけではないので腹は壊さないです。ただ、嫌といえば嫌ですがね。進物用はいかにもマツタケという立派なものをお出ししますが、市場に出ない型崩れのグレード落ちは破格のお値段。味はどれも同じなのでスライスして冷凍庫で保存すれば一年中マツタケにありつけます。季節感がないといえばそれまでですが。
後記
BC州の各地の山火事の影響で空は黄色く普段は目の前に見える山々も全く見えない状態です。外に出れば明らかに空気の質は悪く、気象当局は警告を発しています。暑いので窓を開けていたら突然部屋の煙探知機が作動して鳴り出したのにはさすがあきれてしまいます。火事が主要幹線道路や高速道路に迫るところもあり、交通もあちらこちらで寸断です。地方に行けば山火事の跡を散見できますが、治水的にも環境的にも問題で本来なら急いで植林すべきでしょうが、それも追いつかず。この場合、土地が痩せて砂漠化しやすいのが気になります。そもそもカナダは針葉樹が多いのは寒冷だけではなく、肥沃ではないともされます。環境の恐ろしいほどの変化を感じます。
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2025年9月6日の記事より転載させていただきました。