欧州諸国が日本に期待する安全保障の役割を日本人は何も知らない

谷本 真由美

イギリスとノルウェーの軍艦が横須賀に寄港しました。

全長284mの空母プリンス・オブ・ウェールズ Wikipediaより

日本のニュースではまるでちょっとしたイベントのように取り上げられ、これは以前にも行われていたから特に意味はないと言っている人がいますが、このタイミングでイギリスやノルウェーの軍艦が日本に寄港したのかということの意味を理解すべきです。

横須賀基地にイギリス空母「プリンス・オブ・ウェールズ」が入港 英空母の日本への寄港は2021年以来 ノルウェー海軍「ロアール・アムンセン」は初寄港 2025年8月12日 FNNプライムオンライン


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日本とフィンランドの間では防衛首脳による相互訪問が頻繁であり、2020年には75年ぶりに東京のフィンランド大使館に国防武官が着任しています。防衛省は、陸上自衛隊が導入する次期装輪装甲車(人員輸送型)にフィンランドの総合防衛企業パトリア社製の「緑の悪魔」と呼ばれるAMVを導入しています。

デンマークは初めて東京に武官駐在を送っています。

スウェーデンはこれまでのロシアに対する中立的な態度を転換し、NATOに加盟し、日本とは「戦略的パートナー」としての協定を締結し、日本から装備品を輸出する協定も結びました。

北欧諸国やイギリスは、日本との軍事同盟関係を強化しているのです。

まず地図を見て地理の時間を思い出していただきたいのですが、これらの国はロシアのまさにお隣と言っていいような場所にあるのです。

欧州の距離感がわからない人が多いかもしれませんが、これら諸国からロシアへの移動距離と言うのは日本の国内旅行のような感覚です。

ロシアに隣接するヨーロッパ諸国  seungyeon kim/iStock

そもそも欧州自体が実は意外と小さく日本列島欧州の地図にはめ込むと、なんと南端から頭の国境近くまですっぽりとはまってしまうのです。

つまり日本は実はかなり大きな国です。今の欧州におけるロシアの脅威と言うものも地図を眺めて、日本の大きさと比較してみれば、その恐ろしさがよくわかるでしょう。

北欧諸国と言うのは、その地理的な大きさから行っても、人口からしても日本の九州や山陰地方位の大きさしかないのです。資源も人もかなり限られている状況で、ロシアからの脅威にさらされているのです。

実際かつてはフィンランドやバルト三国のようにソ連に侵略され、かなり凄惨な状況になった国もあります。これは日本の教科書ではなぜかほとんど教えられていません。

ノルウェーは石油が出るために、他の国に比べるとまだまだ豊かなわけですが、デンマークなどドイツの少し上にある小さなところで、日本の感覚で言えば、長野と群馬と新潟が軍艦をブラジルの端っこにまで送るような感覚です。

つまりそこまで小さな国が遠路はるばる極東まで、自国の非常に貴重な軍事資源をよこしたり、日本から軍事装備品を導入したり、日本に技術提供をしているのです。

日本は同盟であり、開かれた太平洋を守るために戦うつもりがあると言うことを隣国に見せているのです。

日本は開かれた太平洋を守れるか seungyeon kim/iStock

欧州はアメリカに頼ることができないと言う意思を固めており、日本に大きな期待をしているのです。


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