では今週のつぶやきをお送りいたします。

アメリカの株はドタバタ劇。日本の株は秋祭り

もしも今、100万円を投資するとします。「ドタバタ劇場のアメリカ」と「秋の収穫祭で盛り上がる日本」とどちらに投資するでしょうか?どっちもどっちですね。エヌビディアがインテルを実質救済ともされる出資に動きます。この1年、インテル社をめぐる動きもドタバタでした。今回、エヌビディア社がインテルの株式の4%程度を取得し、インテル社はエヌビディア社の半導体を使うという取引をしているようですが、私から見ればインテルは半導体会社としてアジアに負けたのです。インテル社の復活とは関係のない話です。その点ではUSスチールと似た構図だと思います。USスチールには日本製鉄が真水を突っ込むので今後、変化はあるかもしれませんが、構造改革はなかなか至難の業だと思っています。

私も19歳の時からアメリカと縁があり、それから45年間、途切れることなく見守り続けました。が、アメリカが抱えている構造的問題は一大統領の手腕で変わる状況にはないのです。成熟経済、既得権、社会体制、分裂…これらは80年代までの良きアメリカとはまるで変わってしまったのです。私から見れば小手先の指導者ばかりになり、本物のオーケストラ指揮者がいなくなり、不協和音の中で投資家がすきを見て稼ごうとする社会だと思っています。

一方、日本も30年を超えた失われた時代を経て現在見える世界は明らかに80年代までのそれとは違います。アメリカと同様、成熟、既得権、分裂、更には人々のグループがSNSを経て細胞分裂し、一枚岩にならない社会ができたと見ています。日本の株式市場は活況ですが、それが果たして真の利益を生み出し、今後何年も成長ができる前提の株価上昇なのか、宴の後に冷たい空っ風が吹くのか、ここは一旦深呼吸してもよいと思います。

激戦のレース?自民党総裁選

自民党総裁選に向けて5人の候補者がほぼ出そろってきました。私が見るのは世論の人気投票とは全く違う世界です。世論とは自民党とは関係のない方、アンチ自民の人など様々な意見の寄せ集めでありますが、今回はあくまでも自民党内の選挙であり、少数野党になった自民党においてもはや総裁の席=首相とはこの先、断言できなくなりつつある点を含め、党が生まれ変わりができるかを党員や自民党議員が占い選択する選挙であります。

小林・林・小泉・高市各候補

私から見れば経済や外交うんぬんよりも自民党立て直しが第一義であると見ています。その点が世論の期待と選挙での得票との乖離要因になると思います。もう一つ気になるのはほぼなくなったはずの派閥が実質的には阿吽の呼吸で機能しているのではないか、という気がするのです。なぜ、麻生詣と岸田詣をするのか、候補者から見ればドンのご協力を得なければ「バルク票」は得られないのだという気がしています。日本人の組織形成社会は生まれ持ったDNAに近いものがあり、アメリカ人のような単独行動は展開しにくいのであります。

ではお前はこの行方をどう見ているのか、と聞かれたら素直に現時点でもまだ小泉氏有利とみます。それは沈みかけている船を再び航行させる行動力を持っているのはこの5人では彼だけだからに見えるからです。対抗馬と目されていた高市早苗氏ですが、公約案を見てちょっとびっくりです。減税案がずらり、なのに以前ポジティブに言っていた消費税については触れずです。保守的姿勢は見られますが、他に目だった公約案はなく、私としては総裁の可能性は下がったと見ています。高市氏は一種の学究肌で自民党の党内政治から一歩距離を置いていますが、それが逆に議員票を伸ばせない彼女の最大の弱点でもあります。ちなみに林氏には宮澤政調会長が支援しているので私から見ると「この線もないな」とみてます。

北朝鮮の世襲制

金正恩氏の娘、ジュエ氏の露出が増え、先般北京での抗日イベントにまで連れて行き、国際舞台でのお披露目的な意味合いを兼ねたようです。本件については日経が「割れる北朝鮮『ジュエ』氏の後継論争 世襲王朝永続が狙いか」と報じています。ジュエ氏の名前にカギかっこがついているのはその名前が北朝鮮から正式に発表されたわけではないため、「そうだろう」という想定が含まれているためです。では13歳の彼女が将来、金王朝を継ぐポジションにつくのか、それについては日経の記事に詳しいのでそちらに譲ります。

私が以前から気になっているのはなぜ、ジュエ氏がまだ小学生時代から業務に半デビューしているのかという点であります。まず、金氏には何人、子どもがいるのかという点ですが、たぶん3人、そしてジュエ氏は真ん中で長男はジュエ氏より3つほど上の年齢とされます。ではなぜ、その長男と思しき人物は一切出てこないのかですが、出せない事情があるのだと踏んでいます。個人的には金家の複雑な人間関係の中で振り落とされて後継候補には残っていないのではないでしょうか?「長男」は既に15-6歳になっているはずで後継者とするなら帝王学や訓練を含め、それなりのステップを踏む年齢であり、その必要があるはずです。

もう一つ、金正恩氏が何か焦っているように見えるのです。いくら何でも小学生の娘を業務デビューさせるのはよほどの力学が必要。その力学の背景はいざという時の保険ではないかと考えています。正恩氏は以前から健康問題を指摘されています。もう1つは様々な外的リスク、それには戦争、内紛、暗殺などが考えられ、金王朝を維持するためにはそのストーリーを早々に作り上げ、広く政権中枢部、軍部、そして国民に周知され、既成事実を作ってしまうことが最優先されると考えているのでしょう。もちろん、私には今更、王朝という古臭い発想はナンセンスだと思っています。が、日本の天皇制のような象徴的ポジションでも金氏は妥協できるほど政権の運営が一筋縄にはいかないとも言えるのではないでしょうか?

後記
木曜日に東京入りし、到着後午後4時からすぐにアポをこなし、金曜日からは京都など関西方面で打合せが続いています。今回も2週間足らずの滞在ですが、アポは20件ぐらいあるし、処理することややらねばならないことに押されます。来週の秋分の日まで会議や打ち合わせがほぼ全日、入っており週末も何もあったものではありません。こうなると航空機選びは到着日をいかに有効活用できるかが勝負で、バンクーバー/東京に1日4社4便飛ぶ航空会社選びというのは昼の12時につくZIPエアーしか選択肢がないわけです。これを以前、JALの支店長に言ったら嫌な顔されましたが。航空機のサービスもマイレージもどうでもよくて、とにかく到着時間第一。出張という短期勝負ですからビジネスマンにはやっぱりタフさが求められると思います。これは秘書時代にボスとの出張を重ねて学んだ秘訣でもあります。

では今日はこのぐらいで。