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税務署からの問い合わせは心臓に悪い
税務署から「○○についてのお尋ね」「資料せん」と書かれた書面が郵送されてきた方もいると思います。
中には、「何か悪いことをしたのだろうか」「無視したらどうなるのか」と不安に思われる方も多いでしょう。
では、これらの税務署から送付されてくる資料について、どのように対処をすればよいのか。
今回は、税務署から送付される「お尋ね」や「資料せん」そして「法定調書」の意味とそれらの対処法について説明しようと思います。
「お尋ね」と「資料せん」に提出義務はない
「お尋ね」とは何か
「お尋ね」は、税務署が課税に関する情報収集を目的として、納税者に対して回答を求める書面です。
具体的には、不動産を購入した時に送付されてくる「お買いになった資産の買入価額などのお尋ね」や一定の金額の財産を保有する方が亡くなった時に送付されてくる「相続税についてのお尋ね」などがあります。
これらは、法的には提出義務はありません。
もし、実際に課税対象になるようなものがなかったとすれば、提出がなくても、何ら罰則はありません。
とはいえ、提出がされないと、税務署から再度提出を促されることがあり、それがストレスだと考える方もいるでしょう。
なお、お尋ねは、これらの事象が発生した場合にすべて送付されてくるわけではありません。
お尋ねが送付されてくる理由は、「あなたには課税の可能性があるかもしれません。ちゃんと税務署は見ていますよ」という趣旨のものだと考えてもよいです。
ですから、税務署との対応が少ない個人の方は、自分には課税対象となるものはないことをアピールするためにも、何も問題がなければ、できるだけ提出はした方が良いと考えます。
何か申告すべきものがあれば、当然申告をしましょう。
「資料せん」とは何か
「資料せん」は、税務署が、適正・公平な課税の実現のため、法人や個人の事業者に、「売上・仕入・費用・リベート・交際費等」に関する取引内容の明細の記載を求めるものです。
こちらは、その記載を求められた事業者の申告内容の確認でもありますが、その記載をされた取引先が、きちんと申告をしているのかという「反面調査」のために作成を求められていると言ってもよいでしょう。
この資料せんは、提出が強制されるものではありません。
もし、期日までに提出がされないと、督促のはがきが来ます。
それを無視しても別に自身の税務調査に発展することもまずないですし、そのままでも何らペナルティはありません。
それでも、税務署からの督促は、気になるというのであれば、数件ピックアップして提出をすれば、「もっとあるはず」などと言ってくることやその真偽についての問い合わせが来るようなこともありません。
法定調書には提出義務はある
法定調書とは、前年中に支払った、給料や報酬、不動産の賃料や不動産譲渡についての取引内容について、翌年の1/31までに税務署に提出をする書面のことです。
この法定調書については、法的に提出義務はあります。
とはいえ、期日までに提出がされなかったとしても、何らペナルティはありません。
提出がされないと督促のはがきが来ますが、それでも出さないとそのままということもあります。
提出した場合、給料の源泉徴収票について、記載した人数と提出した枚数が異なると問い合わせが来ることがありますが、不動産の家賃や報酬の支払いについて、問い合わせが来ることはまずありません。
不動産の譲渡については、提出がないと、こんな取引がされたはずだがという通知が来ますが、その時に回答をしても何らペナルティはありません。
ぶっちゃけ、そのまま提出をしなくても何も起きません。
要するに、これらの税務署からの問い合わせについては、その後も提出を促されることがストレスだと考えれば、最小限度の対応を、そんなの気にもしないというなら、無視していても大した問題にはならないレベルのものだと言うことです。
法的に提出義務があるかどうかは返信用の封用の有無で判断も
税務署だけでなく、公的機関から各種の調査資料について回答を求めるものが送付されてきます。
もし、法的に義務があるならば渋々回答するが、任意ならば回答はしたくないというのであれば、それらの送付されてきたものに返信用の封筒がついているのかどうかを見てください。
相手方が郵送費を負担する返信用の封筒がついている場合は、たいてい、法的に回答の義務はないです。
とはいえ、法的に提出義務があるかないかに関わらず、行政への支援という意味でも、できるだけ回答をしたほうがよいでしょうけどね。
実務上のリアルな姿はこんな感じですよ。
編集部より:この記事は、税理士の吉澤大氏のブログ「あなたのファイナンス用心棒」(2025年9月18日エントリー)より転載させていただきました。






