フランスが世界に誇る食材の一つに、オリーヴ・オイルがある。オリーヴ・オイルの生産量は、スペインがずば抜けて一位、その後にイタリア、ギリシア、チュニジアといった地中海に接する各国が続く。同じ地中海に面しているフランスは、生産量こそ20位前後だが、極めて良質なオリーヴ・オイルを産すると、世界中で高い支持を得ている。
地中海に面した南仏一帯でとりわけ名産地とされるのは、マルセイユやニースがあるプロヴァンスやコート・ダジュール地方。中でも、プロヴァンス地方のレ・ボー・ド・プロヴァンスで育つオリーヴから絞られる油は最上のひとつ。
このエリアの代表格かつ最上のオリーヴ・オイルメゾンとされてるのが、「エストゥブロン」だ。300ヘクタールの敷地に、オリーヴ畑200ヘクタールと葡萄畑20ヘクタールを擁し、極めて高品質のオリーヴ・オイルとワインを造っている。

15世紀にまで歴史を遡る城館が「エストゥブロン」の本拠地
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「エストゥブロン」のオリーヴ・オイルは、オリーヴがオイル加工に最適になるまで熟成させてから手で丁寧に収穫し、24時間以内に自社の絞り器でオイルに仕立てている。収穫から製造、瓶詰めまでの全を自社内で妥協せずに行うマニュファクチュールだ。これにより、フレッシュで香り高く余韻が長いオリーヴ・オイルができあがる。

収穫されたオリーヴの洗浄。収穫から絞りまでの時間が短ければ短いほど、良質なオイルになる
©Morgan Palun
オイルになるオリーヴの品種はいくつもあるが、「エストゥブロン」の畑に植えられているのはサロネンク、ブティラン、グロサーヌ、ピショリーヌなどの種が主流。それぞれの品種の個性を感じてほしい、と、単一品種のオリーヴ・オイルを商品化しているのはこのメゾンならではの魅力。試飲をすると、いかに香りや味わいが違うかを感じられて興味深い。
これらを合わせてバランスよく仕上げたブレンドオイルが定番商品だが、オリーヴ・オイルの極みを味わいたいという愛好家向けに販売しているのが、”フラコン・クチュール”だ。

特級オリーヴ・オイル、”フラコン・クチュール”
高級な香水瓶のようなイメージでボトリングされた最高級オリーヴ・オイル。自社畑の最上の区画で完璧な状態で採集した何十種ものオリーヴを巧みにブレンドし、採集から12間以内に絞った、特級オイル。ルッコラや南仏に育つハーブを切った時に立ち上るようなフレッシュで鮮やかな香り、生のアーティチョークやトマトの葉を思わせる軽い苦味を持つバランスよい風味、最後はフレッシュアーモンドのようなまろやかな味わいが口の中に長く残る。オリーヴ・オイルの女王的な作品だ。

オリーヴには、プロヴァンスの太陽の恵みが封じ込まれている
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「エストゥブロン」は、フランスのリュックス界の卓越したノウハウや伝統を誇る名門メゾンの集まりである”コルベール委員会”のメンバー。「バカラ」、「アラン・デュカス」、「ピュイフォルカ」、「ルイ・ヴィトン」、「タイユヴァン」、「ヴァンクリーフ&アーペル」といった、フランスが誇るリュックスな文化を担う名門のみが入会を許されるこの委員会に相応しいクオリティのオリーヴ・オイルを、「エストゥブロン」は生み出しているのだ。
レ・ボー・ド・プロヴァンスにある美しいドメーヌには、ショップやレストランも併設されており、「エストゥブロン」の魅力に浸ることができる。
パリでも、「ラ・グランド・エピスリー」などの高級食材店で、このドメーヌのオリーヴ・オイルを購入できる。オリーヴ・オイルの概念を変えてくれるだろう、黄金の雫。一度は味わいたい、名品だ。
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