バス運転手不足の解消には運賃値上げしかない

晴海フラッグから新橋駅にはBRTと呼ばれる路線が走っています。BRT(Bus Rapid Transit)とは呼んでいますが、実際は普通のバスとあまり変わるところがありません。

ノンストップで新橋駅まで5分程度で到着するので、アクセスは良いのですが、問題は運行本数が少ないことです。

晴海フラッグでは先月からタワー棟の入居が始まり、居住者の数がかなり増えそうです。それに伴いダイヤ改正されてBRTの増便が期待されたのですが、朝のラッシュ時以外は運転間隔は変わりませんでした。

これは乗客数がそれほど増えないという予想に基づくものかもしれませんが、もしかしたらバス運転手の不足が影響している可能性もあります。

バスの運転手は高齢化が進み50代以上の比率が高まっています。これから退職する運転手が増えれば人手不足はさらに深刻化します。

また最近はバスの運転手からタクシー運転手に転職する例が増えていると聞きます。タクシー運転手は自分のやる気によって収入を増やすことができますが、バスの運転手にはそれはできません。

タクシーなら将来独立することもできますから、同じ運転の仕事でもタクシーの方が圧倒的に魅力的です。

インバウンド需要が拡大してタクシー運転手の給与が上がる中、2つの仕事の賃金格差が広がっています。

バスの運転手不足の根本的な解決方法は、運転手の待遇改善しかありません。賃金引上げには資金が必要になります。補助金に頼るのではなく、経営を成り立たせるためにはバス料金を値上げして賃金に反映させるしかありません。

BRTの運賃は220円ですが、これを例えば250円から300円に値上げする。そうすれば運転手の待遇改善もでき、増便が可能になるかもしれません。増便して運転間隔が短くなれば利用しようと思う人も増えてくる好循環が期待できます。

BRTの利便性を高め、利用者を増やすためには、まず運行本数を増やせる体制を作ることが第一だと思います。


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2025年10月2日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。