高市早苗自民党総裁が、靖国神社の秋季例大祭（10月17～19日）での参拝を見送る方向で調整に入った。これまで靖国参拝を続けてきた高市氏だが、今回は外交上の配慮を優先した判断である。背後には、トランプ米大統領の来日や、韓国・中国との首脳外交を控えた政治的・外交的な計算がある。
- 高市総裁は、靖国神社の秋季例大祭での参拝を見送る方針を固めた。閣僚時代は例年参拝していたが、今回は首相就任を前提に外交問題化を避けた。
- 中国や韓国の反発を考慮し、特に公明党との連携や米国への配慮が判断材料となった。公明党の斉藤代表は「靖国参拝を外交問題にすべきでない」と伝え、両者の見解は一致。
- 10月下旬に予定される国際日程が多く、外交への影響を懸念した。トランプ米大統領の来日（27～29日）、ASEAN・APEC首脳会議、習近平主席との会談も視野に入る。
- 高市氏は総裁選中から「適時適切に判断する」と発言しており、従来の強硬姿勢を修正。「靖国は平和を祈るお社であり、外交問題化されるべきでない」と述べた。
- 靖国参拝は、日米関係にも影響を与える問題とされる。過去に安倍元首相も、米国の意向を踏まえて参拝を控えた経緯がある。
- 本来、追悼なら千鳥ヶ淵戦没者墓苑で十分であり、靖国を政治的象徴にしているのは「古い自民党」の体質である。また、靖国参拝を「日本の伝統」と誤解する保守派が政治の論点を歪めている。
高市氏の靖国参拝見送りは、外交的現実主義に基づく判断である。国内保守層の期待よりも、日米中韓の国際関係を優先した姿勢を示したといえる。靖国参拝を「伝統」とする旧来の保守政治を超え、外交のリアリズムを重んじる路線への転換点ともなりうる。
高市早苗氏インスタグラムより
