ZARAを世界ブランドにした男、パブロ・イスラの次なる挑戦

ZARAを世界ブランドに育てた男

パブロ・イスラ氏(Pablo Isla)と聞いても、誰のことかすぐに思い浮かばない読者も多いだろう。アパレル大手ZARA(親会社インディテックス)を世界No.1の企業に成長させた人物こそ、パブロ・イスラ氏である。

同氏は17年間インディテックスに在籍し、売上高を30億ユーロから280億ユーロへと拡大させた。2022年に退社し、そして今月(10月)から世界的食品企業ネスレ社のCEOに就任した。当初は2026年にCEO就任予定だったが、前任者のスキャンダルにより、就任が前倒しされたものである。

弁護士から経営者へ

イスラ氏はマドリードのコンプルテンセ大学法学部を首席で卒業し、国家弁護士資格を取得。その後、銀行勤務を経て、スペインのたばこ会社アルタディス社の社長を務めていた。その際にヘッドハンティングを受け、インディテックスに入社。創業者アマンシオ・オルテガ氏の信頼を得て経営を一任され、1975年創業の同社をアパレル業界の世界トップ企業に押し上げた。

退社時には退職金と補償金を合わせて2,299万ユーロ(約40億円)が支払われたという。

ネスレの新CEOへ:再び世界の舞台へ

退社後はコンサルタント業や映画製作などに関わっていたが、それはあくまで一時的な活動にすぎなかった。彼に再び白羽の矢を立てたのがネスレ社である。副社長として入社し、当初は2026年にCEOへ昇格する予定だった。

ハーバード・ビジネス・レビューは2017年、パブロ・イスラ氏を「世界で最も優秀な経営者」として評価している。

ZARAをグローバルブランドに育て上げた名経営者は、今度は食品業界という新たな舞台で手腕を発揮することになる。世界最大級の企業ネスレの舵取りを託されたイスラ氏の次の一手に、世界の注目が集まっている。