10月10日、自民党総裁の高市早苗氏と公明党の斉藤鉄夫代表が党首会談を行った。会談で斉藤氏は、公明党が1999年以来26年間続いた自公連立政権から離脱する方針を正式に伝えた。高市氏は「一方的に連立離脱を告げられた」と強い不満を示し、記者団に怒りをあらわにした。
そのわずか30分後、退任を目前にした石破茂首相が記者会見を開き、戦後80年にあたって「首相個人の所感」を発表した。政府としての談話ではなく、自身の歴史観をまとめた形で、戦争の教訓や民主主義の重要性を語ったということだが、このタイミングの発表をいぶかしむ声も多く聞こえてくる。
- 「戦後80年に寄せて」と題し、戦前の失敗として軍部の暴走や議会の弱体化を挙げ、文民統制の重要性を強調した。
- 戦争の反省を忘れず、偏狭なナショナリズムや排外主義に陥らないことを訴えた。
- 談話ではなく「個人のメッセージ」と位置づけ、閣議決定の形式は取らなかった。
- 会見は約90分に及び、退任前の「政治的遺言」とも受け止められた。
- 保守系メディアは「具体性に欠ける」と批判し、リベラル系は「誠実な総括」と評価した。
- 「戦後の教訓を伝える責任ある言葉」との好意的反応がある一方、「曖昧で何も伝わらない」「政治資金3000万円超不記載の人が言っても説得力がない」との批判も目立った。
石破首相の発言は、戦後日本の歩みを冷静に振り返る誠実な姿勢が評価された一方で、政策への具体的反映や明確な反省表現に欠けるとの指摘もあった。退任を前にした「静かな総括」として意義はあるが、国民の記憶に残る談話となるかは今後の政治的評価に委ねられる。

10月10日 石破内閣総理大臣記者会見 戦後80年に寄せて
「戦後80年の所感」要旨
- 日本は戦後80年間、平和国家として歩み、戦没者の犠牲の上に現在の繁栄がある。
- 戦争を避けられなかった原因を改めて検証し、国民とともに考えたい。
- 当時の大日本帝国憲法には文民統制がなく、軍部が独走した。
- 政府は軍に対する統制を失い、政党政治も政争や迎合で機能しなくなった。
- 議会は軍への監視機能を果たせず、反軍的言論が弾圧された。
- メディアは満州事変以降、商業主義に流されて戦争を煽った。
- 情報分析力も不足し、国際情勢を誤って判断した。
- 戦後の日本は文民統制や安全保障体制を整備したが、制度を正しく運用する責任が政治にある。
- 政治は冷静で合理的な判断を行い、感情的な決断や人気取りに流されてはならない。
- 国会とメディアは政府を監視し、健全な言論空間を守る役割を担う。
- 歴史を学び、暴力や排外主義を拒み、寛容な民主主義を維持すべき。
- 戦争の記憶を次世代に継承し、二度と惨禍を繰り返さない決意を共有する。






