トランプ大統領、ガザ停戦を宣言:人質解放で「中東の夜明け」強調

米国のドナルド・トランプ大統領は、パレスチナ自治区ガザで2年以上続いた戦火の終結を宣言し、中東全体の和平構想を打ち出した。ガザ停戦は「第1段階」の成功を前提としつつも、ハマスの武装解除や将来の統治体制など解決すべき難題も多く残る。

  • トランプ大統領は10月13日、エジプト・シャルムエルシェイクで開かれた中東和平サミットで、ガザ停戦は「第1段階」が終わり、「第2段階」へ移行すると宣言した。
  • 停戦合意には、ハマスが拘束するイスラエル人質20人の生存者全員の解放と、イスラエル側によるパレスチナ人囚人約2000人の釈放交換が含まれている。
  • 停戦は10日に発効し、イスラエル軍は一部地域から撤退を開始。大規模な衝突は現在のところ大きく報じられていない。
  • サミットには20カ国以上の首脳が参加し、ガザ復興支援と和平プロセス後押しの意向を示した。だが、イスラエル・ハマス双方の首脳は直接参加せず、政党的・実務的な関与には限界があった。
  • 今後の第2段階では、ハマスの武装解除、イスラエル軍の全面撤退、ガザ統治の実務体制構築が主要課題となる。
  • 停戦後の治安維持には「国際安定部隊(ISF)」という多国籍部隊が関与し、米国は200人規模の部隊を派遣する計画。パレスチナ警察予備部隊の訓練や治安任務も想定されている。
  • 停戦合意文書には「投降するハマス戦闘員には恩赦を与える」との条項が盛り込まれているが、武器を放棄した上で組織を存続させるという矛盾は指摘されている。
  • 停戦合意において、人道支援の拡充が盛り込まれており、国連機関(特にUNRWA)がガザ支援の主導権回復を目指している。
  • 停戦後、ハマスはガザ内の治安維持作業を一時的に許可される動きを示しており、略奪防止や秩序回復に関与する構えも報じられている。
  • トランプ大統領はこの停戦合意を「中東の夜明け」「テロと死の時代の終わり」と表現し、自身の外交成果として強調している。
  • 一方で、ハマスが武装解除に反対している点、停戦の持続可能性、復興資金調達、ガザの統治体制の不透明さなど、不確実性を指摘する報道も多い。
  • 外交的反応として、エジプトのシシ大統領はトランプの和平案を「中東平和の最後のチャンス」と呼び支持を表明していた。
  • トランプ大統領は停戦合意後、イランとも和平対話を進めたい意向を示し、中東全域の安定構想を掲げている。

今回の停戦合意は、ガザ紛争における一時的な戦闘停止と人質交換を軸とした「第1段階」の成功にすぎない。トランプ政権が打ち出す「第2段階」以降の課題—ハマスの武装解除、イスラエル軍の全面撤退、ガザの実質的な統治体制の構築、復興支援の持続性、治安維持の実効性—は極めて困難である。停戦が恒久化し、地域に安定をもたらすかどうかは、これらの課題の解き方と国際社会の支援・関与の度合いにかかっている。

イスラエルの国会に訪れたトランプ大統領とネタニヤフ首相 2025年10月13日 ホワイトハウスXより