
毎日新聞より
鈴木新農相、米価高騰での備蓄米放出はせず 前政権と異なる認識 毎日新聞
鈴木氏は「農林水産省が価格にコミットすることは、政府の立場もあってすべきではない。価格はマーケットの中で決まるべきもの」と強調
←「けど、需給調整はやりますっ(キリッ)」
大臣や農水事務方のアタマの中では、二つは矛盾してないんだろうなぁ。w
ホンネは、現状の米価格をそのまま維持したいんだろう。高値が続くコメの価格への対策として「おこめ券」を挙げたのはその証拠だ。
「(今後)米価が高騰しても備蓄米の放出はしない」って、前内閣の看板政策がかくも見事に掌返しになる、しかも議論も無しに?! というのはオドロキだが、まさか去年までのコメ行政に先祖返りするつもりなのだろうか。
大きな政策の失敗が起きた以上、制度の大きな見直しをしなけりゃイカンのでしょう。この新大臣にはその気が全く無さそうだし、閣僚への「指示書」だって「米の安定供給に向けて、必要な取組を推進する」って、改革色まったく無し、それで良いのか?
どうすればよいのか?
需給調整するなと言っても、するのが農水族行政なのだろうが、問題はその年の産量も正確に掴めない農水省に「コメは足りているか否か」を計る能力はなさそうだ?ってこと。
だったら、今の政府備蓄米の仕組みを、備蓄と(余剰になったら)輸出を用途としたバッファー備蓄制度に改める、来年の購入量も今から決めてしまわずに、米価格を睨みながら市中から必要量を買い上げることにしたらどうだろう?
コメは簡単に供給を増やしたり減らしたりできないから、価格が大きく変動しやすい。江戸時代からそうだ。これまでのコメ行政ではうまく管理できないからコメ価格の暴騰を招いた。バッファー備蓄制度に変えたって万全ではないが、今までよりは需給を管理し易くなるはずだ。
備蓄の総量はこれまでの100万トンで良いのかという問題だってある。今年の相場冷やしのような用途なら100万トンで足りるかもしれないが、本当に日本の輸出入が途絶する緊急事態が起きて、小麦など他の栄養源が入らなくなるような場合を想定するなら100万トンでは到底足りないだろう。
報道によると農水省は来年の備蓄米購入量を20万トンとする予定だと言う。現状は今年の放出の結果、30万トンにまで低下しているという。100万トンレベルまで戻すのに何年もかけるつもりだろうか、それまでに凶作や今年のような価格暴騰が起きたらどうするつもりだろう? とにかく「増産」ムードが強まると米価に響くからイヤだ、という考えなのか。
20万トンしか買わないというのは、ここら辺の予算制約がマンネリ化していることも一因なのではないか? 今年大きな政策の失敗が起きた以上、政治主導でもっと弾力的に考えられないだろうか。
100万トンを超えて備蓄を増やすには、米の購入代だけでなく専用倉庫の建設・運営などの費用もかかるらしいが、コメの需給管理の仕組みを一新するのは、「おこめ券」なんて訳のわからないバラマキに使うより、よほど意味ある税金の使い道って気がするがどうだろう?
以上、素人のコメ政策提言でした。知らんけどw
編集部より:この記事は現代中国研究家の津上俊哉氏のnote 2025年10月24日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は津上俊哉氏のnoteをご覧ください。






