京都大学出身の坂口志文さんがノーベル医学生理学賞、北川進さんが化学賞をとって、出身大学において京都大学がまた東京大学をしのいだと話題になっている。しかも、東京大学は出身者はいても教員となると小柴昌俊だけしかいない。また、これまでのところ出身大学では、東京大学、京都大学のほか北海道大学、東北大学、東京大学、埼玉大学、山梨大学、名古屋大学、神戸大学、徳島大学、長崎大学と国立大学の独占は今回も崩れなかった。
坂口志文氏と北川進氏 Wikipediaより
一方、出身高校を見ると、私立高校は同志社高校の江崎玲於奈、灘高校の野依良治だけで、山中伸弥が国立の大阪教育大学附属天王寺校であとは、すべて公立高校出身者である。
しかも、箱根の山より東は、北海道の苫小牧東の鈴木章、埼玉の川越高校の梶田隆章、日比谷高校の利根川進、横須賀高校の小柴昌俊、湘南高校の根岸英一の5人だけで、人口の二等分線である中央構造線より東でも山梨韮崎の大村智だけで、あとは広い意味での西日本出身である。
中部地方は、大村のほか、浜松西の天野浩、富山中部の田中耕一、福井県の藤島高校の南部陽平、飛騨高山高校の白川英樹、それに名古屋甲陽高校の益川敏英、明和高校の小林誠がいて、東日本と会わせて12人。残りは関ヶ原より西である。京都が公立では3人、大阪が4人、あとは、滋賀県長浜高校、山口高校、宇部高校、愛媛の三島高校、大洲高校、松山東高校。それに福岡高校、長崎の諫早高校、鹿児島の甲南高校である。
どうも、私立は受験に直接役立つことばかりしているとか、西日本のほうが研究者の社会的地位が高いというようことが原因といわれる。
そのようなことをあちこちで書いているのだが、今年は『日本の名門高校 – あの伝統校から注目の新勢力まで』(ワニブックス)に最新の状況を書いたが、その内容を編集して、婦人公論電子版で二年にわたって連載してもらえることになった。
「近代日本において、全国のどこで生まれても地元の各都道府県に名門高校があり、良質な高校教育を受けることができることは国力の源泉となってきた」という趣旨に共鳴いただいてのことである。
初回には「日比谷高校」である。婦人公論のほうが読みやすいが、ヤフコメを書く楽しみがYahoo!ニュースにはある。
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