滞在という作品、「シャトー・ド・コリアス」に息づく南仏の美意識

加納 雪乃

南仏の人気観光地、アヴィニヨンとニーム。この二つの古都の間、自然豊かな山岳森林地帯の一隅に、11世紀まで歴史を遡る古城がある。「シャトー・ド・コリアス」だ。

美しい城と美しい庭からなるシャトー・ド・コリアス

歴代城主に慈しまれ、16世紀には宗教戦争の煽りを受けて破壊されるも修復され、18世紀にはかのナポレオン・ボナパルトが購入して側近にプレゼントしたなど、フランスの歴史が投影された由緒ある城(シャトー)だ。2023年からは、ラグジュアリーなシャトーホテルレストランとして、新たな歴史を紡いでいる。

城内は、中世から19世紀の面影が色濃く残る構造や内装。ところどころに現代アートが飾られているのは、過去と現在を未来へと繋いでいく現オーナーの感性だ。

ロマンティックなしつらえの客室
南仏らしいタイルが魅力的な床

13の客室は、広大な庭を見下ろすロマンティックな雰囲気の部屋や、中世の螺旋階段を登った先にある塔を改装して作られた部屋など。塔の部屋にはルーフトップテラスがあり、城の旗が誇らしげにはためくテラスからは、かわいらしいコリアスの街並みや周囲の自然を一望、はるか遠くには山脈も見える。

ガストロノミーダイニング

広々とした城内には、客室のほかに、石壁が美しいガストロノミーレストラン、テラスに面したビストロ、落ち着いた雰囲気のサロンなどがある。

レストランでは、フランス料理の要であるソースを得意とする若き才能ある料理人バンジャマン・ボロレが、地元の食材を主役に味わい深くかつ軽やかなソースを巧みに使った料理でゲストの味覚を楽しませてくれる。合わせるワインは、ぜひ地元産を。日本ではなかなか見かけられない希少な南仏のワインを、ソムリエが見事に料理とマリアージュしてくれる。

白身魚のムース仕立て、オマール添え
©Château de Collias

お腹があまり空いていない、という時は、サロンやルームサーヴィスで、近隣で養殖される上質なマスの燻製やシーザーズサラダ、地元のチーズ盛り合わせなどの軽食もオーダー可能。ゲストの好みに柔軟に対応してくれる。

数ヘクタールの広大な庭は美しく造園され、大きな枝を広げる木々、池、オリーヴ畑、ローズガーデン、ハーブガーデン、果樹園などが点在し、素晴らしい散歩を楽しめる。

客室から望む庭

一隅にはチャーミングなプールもあり、泳ぐもよしプールサイドでうたた寝するもよし。

ロマンティックで美しく、美食も楽しめる「シャトー・ド・コリアス」は、結婚式宴会の会場としても人気。ローズガーデンで挙式し、テラスでアペリティフ、レストランでディナー、そしてホールでダンスパーティーと、忘れられない結婚パーティーを実現してくれる。

19世紀に作られたプール

温かなホスピタリティーの元、部屋やサロンでくつろぎ、美食を味わい、庭やプールでのんびり過ごす…。外の世界と切り離された楽園のような敷地から一歩も出ずに1〜2日過ごしても全く飽きることはないだろう。

古代ローマの建築技術の粋を感じられる、ポン・デュ・ガール
© Site du pont du Gard

敷地内の滞在だけでも十分満足できるヴァカンスを過ごせるが、車で15分ほどのところには、フランスの世界遺産の中でも一際人気がある”ポン・デュ・ガール”が。古代ローマが建造した水道橋だ。

「シャトー・ド・コリアス」滞在と合わせて訪れれば、一生の思い出となる素晴らしい南仏旅行となるに違いない。

Hotel and Restaurant gastronomic in Occitania
Castle of Collias, Luxury hotel in the Gard region Escape into an intimate and elegant cocoon. A thousand-year-old authentic castle that has retained its charm...