「京の台所」錦市場は「外国人のたまり場」になってしまった

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京都の街でよく来るのが錦市場です。こちらは400年以上続く京都の老舗商店街で、野菜やお魚、漬物などの日常品を売っているお店がたくさん並んでおり「京の台所」と呼ばれ親しまれてきました。

しかし、京都にインバウンド観光客が増えるとともに、錦市場にも観光客が押し寄せ、徐々に伝統的なお店が少なくなり、観光客相手の立ち飲みの店が徐々に増えています。また、観光客をターゲットにしたお土産店も目立ちます。

今回錦市場に行ってみると、さらに外国人観光客が増え、昔ながらのお店が次々と串焼きや天ぷら、たこ焼きなどの立ち飲みのお店に変わっていました。

地元の人たちが食材を買い求めるかつての錦市場の姿はもうありません。

スペインのサンセバスチャンでバルホッピングをするように外国人観光客が食べ歩きをしながら写真を撮っています。

平日の日中でも外国人観光客だらけになっています。お店からはみ出すように団体客が通り道を占拠していて、歩くのにも時間がかかります。

顧客のニーズに合わせて街が変わっていくのは仕方がないことだと思います。

しかし、京都の風情とは全くそぐわない錦市場の現状は東京人の私でも何だか少し悲しい気持ちになります。

そして利用者のマナーも問題です。購入した食べ物を手にしたまま別のお店に入っていったり、ファストフードのゴミを道端に放置したり、道路に座り込んで飲食をしている人もいます。

多くの飲食店のメニューは外国人向けに変わっており、大ぶりの海老フライや3,000円を超える和牛の串焼きステーキのような日本人観光客なら食べないようなメニューばかり。完全に外国人観光客向けのスポットに変わりました。

今は外国人観光客で賑わう錦市場ですが、このように外国人相手に日本人が食べもしないものを割高な価格で売っていれば、その情報はいずれSNSなどで広がります。外国人の間で「行ってはいけない観光地」として認知される日も遠くはありません。

このままだと日本人が寄り付かない場所になるだけでは無く、いずれ外国人観光客にも飽きられて衰退していく気がします。

錦市場は目先の利益を追い求める飲食店を増やすのでは無く、その先を見据えた対策を今のうちに講じるべきと思うのは私だけでしょうか?


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2025年10月30日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。