経営再建中の日産自動車は6日、2025年9月中間連結決算で純損益が2219億2100万円の赤字に転落したと発表した。前年同期は192億2300万円の黒字だったが、大幅な業績悪化となった。社外取締役への高額報酬の増額や本社ビル売却など、抜本的な改革になりきれない経営姿勢に批判も高まっている。
- 巨額赤字を計上
2025年9月中間連結決算で2219億2100万円の純損失を計上。前年同期の黒字から大幅な悪化で、先行きの不透明さが浮き彫りに。 - 通期純利益予想を開示せず
2026年3月期の純利益予想は「見通しが難しい」として開示を見送った。 - 本社ビルを売却して資金確保
横浜市西区みなとみらいの本社ビルを信託設定し、その信託受益権を970億円でMJI合同会社に譲渡すると発表。12月12日付で売却手続きが完了する見通し。 - 社外取締役の報酬増額に批判
経営難にもかかわらず、2025年3月期の社外取締役8名に対する報酬総額は2100万円増加し、1億7900万円に。株主などからは「本当に経営の役に立っているのか」との疑問が噴出。 - 業績悪化の本質的原因は「品質劣化」
赤字の原因は部品不足や関税ではなく、車両品質の低下と組織の劣化にあるとの批判が強い。ホンダとの経営統合が破談して9カ月経つが、再建への筋道はなお見えない。
今回の赤字転落と本社売却は、日産がいまだ深刻な経営危機に直面していることを示している。豪華なオフィスを構えながら、品質低下でユーザー離れが進むという矛盾は、再建を妨げる構造的問題として残っている。経営陣が本気で企業価値を立て直す覚悟を持てるかどうかが問われている。

日産自動車HPより






