LINEヤフーが2025年10月下旬に、40歳以上・勤続年数5年以上の社員を対象に、「ネクストキャリア支援制度」という名目で希望退職者募集(あるいはそれに準ずる制度)の案内を社内に出したという報道が流れた。
これに対し、同社側は「早期退職を目的としたものではない」と説明しており、メディア間で報道の認識にズレが生じている。背景として、国内大手企業であっても人員構造・事業環境の変化に対応する余地を持たざるを得ず、「大手だし黒字だし安心」という時代にも変化が起きている。
- LINEヤフーは2025年10月下旬、社内に「ネクストキャリア支援制度」について案内を出した。
- 対象は「2026年3月末時点で40歳以上かつ勤続年数5年以上の正社員・専門正社員・再雇用嘱託社員」という条件が記事で報じられている。
- 制度利用者が退職を選んだ場合、同社が支援金等を支給する可能性も報じられている。
- 同制度は「応募人数の目標」や「募集期限」は設定しておらず、あくまで「従業員の自律的なキャリア選択を支援するための恒常的な制度」であると同社広報が説明している。
「LINEヤフーが40歳以上の早期退職を募集」は事実か? 同社に聞いたhttps://t.co/3a1tUucwC7
— ITmedia NEWS (@itmedia_news) October 28, 2025
- 一方で、外部報道(主に 日本経済新聞系列)などでは「希望退職の募集を開始」と断定的に伝えており、メディア間で表現の食い違いがある。
X民「LINEヤフーが早期退職者を募集してる!! ざわ…ざわ…」
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ITmedia「と騒ぎになってるんですが、本当のところは?」
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LINEヤフー「事実ではありません。それはネクストキャリア支援制度のことです」
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日経「LINEヤフーが希望退職を募集!!」←イマココ— 篠原 修司 (@digimaga) October 30, 2025
- 社内組織再編を同時期に行っており、「ネクストキャリア支援制度」と組織再編との関連性については同社は否定している。
- 社員・元社員の口コミ等では、LINEヤフーでは過去から離職・退職の声も散見され、環境変化やキャリア観の転換が背景にあるとの声がある。
- 大手 IT・通信企業においても、従来のように「安定して長く勤めていけば安心」という時代ではなく、個々人が自身の「市場価値」を意識し「脱出できる状態」を整えておく時代の本格的な到来。
三菱電機の「ネクストステージ支援」=『早期退職』。従業員約4万人のうち、この条件に当てはまるのは約1万人みたい。
もう大手だから逃げ切れる時代は終わった。自分の市場価値を常に意識して、いつでも脱出できる状態にしておく。これが令和サラリーマンの基本的な所作。 pic.twitter.com/xvgCUrfFKI
— ける (@keru_career) September 8, 2025
- 「早期退職」という言葉を避け、「支援制度」「キャリア選択制度」という表現に転じている点も、企業側が「早期退職の募集」という表現を避けたい構えを示しており、報道と実態のギャップが生じている可能性も否定できない。
どうしても早期退職者募集と言いたくなくて草 https://t.co/De1kTRUQFx pic.twitter.com/WAnGlRhzwY
— サカモト@エンジニアキャリア論 (@sakamoto_582) October 28, 2025
- 今回の制度導入をめぐって、社員側に「もしものときに備えておく」「自らのキャリアを選択できる余地を残しておく」という意識変化が求められているという会社側からの強いメッセージが読み取れる。
今回、LINEヤフーが打ち出した「ネクストキャリア支援制度」は、表向きには「退職を促す制度ではない」としつつ、実質的に「希望退職者募集」と受け取られても不自然ではない構造をもっている。大手であっても「安心して定年まで勤め切る」という従来のキャリアモデルが揺らぎつつある今、企業側の婉曲表現を正確に読み取りつつ、個人のキャリア戦略を再考すべきタイミングだと言えよう。







