資生堂が過去最大520億円の赤字で希望退職者を200人追加募集

資生堂は2025年12月期について、連結最終損益を過去最大となる 520億円の赤字 に下方修正し、国内本社及び一部子会社で約200人規模の希望退職を募ると発表した。従来予想は60億円の黒字であった。今回の大幅修正と構造改革の動きは、美容・化粧品業界における逆風の深刻さを改めて浮き彫りにしている。

  • 資生堂は2025年12月期の連結純損益予想を、従来の60億円の黒字から 520億円の赤字 に下方修正。
  • 売上高予想も修正され、9950億円 → 9650億円へ。営業損益も135億円の黒字予想から 420億円の赤字見通しへ。
  • 主な赤字要因として、米州事業におけるブランド「Drunk Elephant」の販売不振と、約468億円に及ぶ減損損失の計上が挙げられている。
  • 希望退職制度の実施を発表。国内本社および国内子会社を対象に約200人を募集。退職日は2026年3月31日。
  • 既に2024年9月に日本事業で約1500人、2025年7月に米州事業で約300人の人員削減を実施している。
  • 会見で藤原憲太郎社は「2026年に250億円の改革効果を実現の目処が立った」「ブランドに投資できるコスト構造に生まれ変わる」と語った。
  • 背景には、中国市場およびトラベルリテール事業の減収、米州スキンケア市場での競争激化、買収ブランド育成の遅れなどが指摘されている。

資生堂の今回の発表は、同社の事業構造とブランド戦略とグローバル展開の課題が一気に可視化されたという意味を持つ。黒字予想から520億円の赤字への転落、加えて大規模リストラまで実施するという事態は、消費者トレンドの変化や競争激化、美容業界の構造的変化を反映している。株価の大幅下落とあわせ、資生堂は「ブランドへの集中投資」と「コスト構造改革」に舵を切らざるを得なくなった。今後、2026年・2030年を見据えた中期戦略の実効性が問われる。