米株式相場が下げ止まらない。ダウ平均は4営業日で2100ドル超下落し、市場には「AI相場の継続性」への疑念がじわじわ広がっている。とりわけ19日夕のエヌビディア(NVIDIA)決算を控え、投資家心理は極度に不安定だ。バブルは決算をきっかけに崩壊するのではなく、買い手不在で静かにしぼむ。相場全体がその初期症状を示しているのではないか――そんな空気が市場を覆っている。
- 米株式相場が4日で2100ドル超下落
ダウ工業株30種平均は18日までに4営業日連続で大幅安となり、累計の下げ幅は2100ドルあまりに達した。AI関連株を中心に、買い手が細り始めているとの警戒感が広がる。 - NVIDIA決算前に市場心理が急冷
19日夕に控えるエヌビディアの決算が「相場の分岐点」とみられ、投資家は神経質になっている。市場関係者からは「崩壊が始まっているなら決算が良くても株価は下がり続けるし、まだバブルの途上なら悪い決算でも反発する」との指摘が出ている。 - AIブームをめぐる「循環取引」への懸念
オープンAIが巨額のインフラ投資を打ち出す一方、その資金がAI半導体を販売するNVIDIAの業績として跳ね返るという循環構造に、市場では「互いに資金を供給しあって成長を水増ししたITバブル時代の再来」を懸念する声があがっている。 - テクノロジー投資が米GDPを辛うじて支える構図
米国ではテック企業の支出がなければ既に景気後退入りしていたとの分析もある。テック支出を除く実質GDP成長率は急低下しており、NVIDIAを中心とするAI投資が米国のみならず世界経済を支える「最後の柱」になっている状態だ。 - NVIDIA依存のリスク
時価総額5兆ドルに迫るNVIDIAへの過度な利益集中に疑問が高まっているが、他に代替する投資先も見当たらないのが現状。
市場は、AIブームの象徴であるNVIDIAの決算を前に、バブル的な構造がどこまで持続可能なのかを疑い始めている。相場は必ずしも決算で崩壊するわけではない。買い手が消えたときこそ本格的な下落が始まる。今の米株市場は、その「とば口」に立っているのかもしれない。

ジェン・スン・フアンCEO エヌヴィディアHPより






