総合経済対策に巨額の21.3兆円:円安・インフレを加速させる高市政権

政府が21兆円超という異例の規模の補正予算を組もうとしている。インフレと急激な円安が進行する最中での大型財政出動は、過去の危機対応と比べても突出している。高市政権の「責任ある積極財政」が、実際には円安インフレをさらに促す危険な政策運営になっているとの見方も強まっている。

  • 政府は2025年11月21日に総合経済対策を閣議決定する方向で最終調整しており、対策規模は 21兆3000億円程度 に膨らむ見通しとなった。所得税の「年収の壁」引き上げやガソリン税の暫定税率廃止による大幅減税も含める。
  • 一般会計ベースの補正は 17兆7000億円程度 とされ、昨年度(13.9兆円)を大きく上回る。事業規模は 42兆8000億円規模 に達し、コロナ禍後で最大となる。
  • 財政支出の拡大は、自民党や連立を組む日本維新の会が求める「電気・ガス料金補助の拡大」などの要求を取り込んだ結果で、政策規模は危機対応期を大幅に超えるレベルになった。
     リーマン危機(14兆円)や東日本大震災(12兆円)をはるかに上回る。
  • 市場では、インフレと円安が進行するなかで20兆円超の補正を組む政策判断に対し、「火事に水でなく薪をくべる」ようなものだと警戒感が広がっている。円相場は 1ドル=157.20円 と1月以来の安値を更新。10年国債利回りは 1.817% と過去最高水準の金利に張り付く。
  • 経済学的にも、物価高の最中に財政をさらに膨張させることはインフレ圧力を強め、国債市場の不安定化を招くとの指摘が多い。「日本は中進国の罠に入りつつある」「高市政権は意図せず円安インフレ誘導で債務圧縮を狙っているのではないか」という見方も出ている。
  • 戦前日本を礼賛する高市首相が、危険水域にある円安・金利上昇を無視して補正を膨張させる姿勢には、国際市場からの視線も厳しい。こうした経済混乱に乗じ、中国が水産物禁輸をエスカレートさせる可能性も懸念されている。

政府が進める21兆円規模の補正予算は、かつての危機を超える異例の大きさだ。インフレと円安が進む中での実施は経済へのリスクが極めて大きいものとなる。日本国民は、円安インフレの長期化を前提に資産や生活防衛を考えざるを得ない状況になりつつある。

高市首相 首相官邸HPより