2025年3月に発覚した他人名義の証券口座を使った株価つり上げ事件で、中国籍の男2人が逮捕された。警視庁の捜査で、犯行グループが標的企業の株式売買をわずか約2時間で完了させるなど、巧妙かつ短時間で利益を得る手法を取っていたことが明らかになった。急増する口座乗っ取りと不正取引は市場の信頼を揺るがしており、警察は背後にある組織的犯罪の実態解明を急いでいる。
- 2025年3月17日、他人の証券口座を不正に乗っ取り、株価をつり上げたとして、中国籍の男2人が金融商品取引法違反(相場操縦)などの容疑で逮捕された。
- 逮捕されたのは貴金属輸出入会社「L&H」経営の38歳の男(川崎市)と、職業不詳の42歳の男(東京都江東区)。
- 2人は仲間と共謀し、男女10人の証券口座に不正アクセス。
- これら10口座とL社名義の口座を利用し、東証スタンダード上場の人材開発会社の株に大量の売買注文を繰り返した。
- 捜査関係者によると、グループは標的銘柄の売買を約2時間の短時間で完了。
- 株価上昇を誘う「買い上がり」手法で連続して買い注文を出し、株価をつり上げたとみられている。
- その後、高値となったところで保有株を売り抜け、不正な利益を得た疑いがある。
- 証券口座乗っ取りによる不正取引は2025年1~10月に9348件発生し、売買総額は約7110億円に達する。
- 被害は拡大しており、SNSやメールを通じたフィッシング、パスワード流出などが背景にあるとみられる。
- 捜査当局は、今回の事件が単独犯ではなく、海外を含む組織的な関与がある可能性を視野に捜査を継続している。
証券口座の乗っ取りを悪用した相場操縦事件は、短時間で利益を得る巧妙な手口と、被害件数の急増が市場の安全性を脅かしている。警察は摘発を強化し、背後に潜む組織犯罪の全容解明を急ぐ必要がある。投資家側にも、パスワード管理や二段階認証の徹底など、自己防衛の対応が求められている。

Yuliya Taba






