不動産投資を取り巻く3つの環境変化

都市部やリゾート地を中心とした不動産価格の高騰により大きな恩恵を受けてきた国内不動産投資家ですが、ここに来て少しずつ環境が変わってくる変わってきています。

まず国内金利の上昇です。12月1日の植田日銀総裁の発言によって年内に政策金利の引き上げが行われる可能性が高まりました。また、長期金利は以前から日本の財政赤字に対する懸念から上昇し、直近では1.9%近くに達しています。

政策金利については来年以降も追加の利上げの可能性も出てきています。金利上昇が続けば借入負担の増大から投資用不動産物件や居住用マンションの需要がピークアウトするかもしれません。

次に心配されるのが相続税の税制改正です。まだ確定したわけではありませんが不動産を使った相続税の節税に対して、自民党の税制調査会が課税強化を行う方向性を打ち出しています。

シニア富裕層に向けた課税強化によって節税目的の不動産購入が減少する可能性が出てきました。また不動産小口化商品などにも影響が広がりそうです。

そして、3つ目が中国からのインバウンド宿泊需要の変調です。高市首相の台湾有事に関する発言がきっかけとなり、中国政府が中国人の渡航自粛を呼びかけたことで、宿泊客がキャンセルをする動きが出ています。

特に中国人団体客を受け入れているような宿泊施設は影響が大きいとされています。最終的にどの程度のインパクトがあるかはまだ分かりませんが宿泊施設全体ではマイナスの影響は避けられません。

これまで10年以上不動産投資には強い追い風が吹いていました。よほど変な不動産に手を出さなければ正直誰でも儲かるという状態でした。

しかし、これからは不動産投資が思うようにうまくいかないという人が増えてくると思います。

環境の変化に柔軟に対応して投資対象の取捨選択を行っていくことが不動産投資家に求められることになります。資産デザイン研究所では引き続き個人投資家の皆様に不動産に限らず資産運用に関する情報提供を続けていきます。

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編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2025年12月1日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。