来年の通常国会に「旧姓使用の法制化」の法案が提出されることになった。これは自民と維新の連立合意に入っていたものだが、これで30年にわたって続いてきた夫婦別姓の問題は決着したという人もいる。
⬜️旧姓使用を法制化へ、来年の通常国会に法案提出方針…通称使用の高市首相私案を軸にhttps://t.co/UUCgmxJVJt
選択的夫婦別姓、これにて一件落着
— フィフィ (@FIFI_Egypt) December 3, 2025
Q. 旧姓使用を法制化したら、選択的夫婦別姓は必要なくなるんですか?
結論からいうと、旧姓使用の法制化だけでは、選択的夫婦別姓の必要はなくならない。制度上は“別姓の代替”にはならず、解決できない問題も残るためである。
① 戸籍上の「夫婦同姓原則」は維持される
これは戸籍制度の夫婦同姓の原則を維持するもので、戸籍名は変えられない。つまり、結婚したら戸籍の名字は必ず夫婦どちらかに統一される現行制度はそのまま。
→ 旧姓の通称使用はあくまで「通称」であり、法的な改姓を伴わない。
② 旧姓は法的な名前ではなく通称
住民票・マイナンバーカード・パスポートなど戸籍名と通称の併記を広げるだけで、通称が本人の法律上の姓になるわけではない。そのため以下の問題は残り続ける:
- 戸籍・公的契約・法律文書は必ず戸籍名で書く必要がある
- 子どもの姓は戸籍姓に従うため、親子で姓が異なる問題は解消しない
- 本人認証(銀行・クレジットカードなど)は戸籍名
- パスポートに旧姓は併記できるが、海外では戸籍名しか使えない
高市首相は夫婦別姓に慎重であり、“夫婦同姓を維持したままの不便解消策”として旧姓使用を拡大しようとしているが、これは 夫婦同姓制度は変えないまま、社会生活の不便を軽減する方針。不便は解消しない。

Q. 「二重の名前」を認めると混乱し、セキュリティ上も問題があるのでは?
結論から言うと、「二重の名前(戸籍名+通称)」を公式に認めることはセキュリティリスクを生む。以下、批判の根拠と、それに対する整理を分かりやすく説明する。
① 本人確認(KYC)の難易度が上がる
銀行・保険・不動産・資格登録などで一人に複数の正式な名前が存在すると、照合が複雑になる。
- 不正な名義貸し
- 脱税・マネーロンダリング
- 反社勢力の偽名利用
などへの悪用リスクが増す。
② データベースの統合管理が困難になる
行政のデジタル化が進むほど、名前 = 一意の識別キーとして扱うことが多い。ここに複数名が入ると、住民票、マイナンバー、保険証などで別人扱いとなり、照合作業の負荷が増大する。
③ 国際的な本人確認でも混乱が起きる
海外では法的な名前(戸籍名)以外は認められない。特にパスポートが複数名を持つことになると、入国審査や国際送金で一致しないケースが問題化するので、旧姓は()内に併記するだけで入国管理には使われない。
最も安全なのは選択的夫婦別姓(本名は1人につき1つ)という国際標準モデルであり、旧姓法制化はその“つなぎ”としての暫定策にとどまる。






