S&P 500は続騰した。水曜12/3の寄付き前からMSFTのAIソフトウェア販売目標の引下げのヘッドラインで指数ごと安寄りしたが、そこでも押し目買いが入る。長期金利が1週間でそれなりに上昇したが、株式の上昇を妨げるほどにはならなかった。結局、過去最高値の方が近くなった。
本ブログは3週間前の記事で
- 金曜11/21はOp Exであり、万が一ネガティブガンマ域で迎えた場合はそのあたりで反転しやすい
- 残尿ゾーンが依然6550近辺に控えているが、もし11月中にそのレベルまでの調整が実現するなら、政府再開とQT停止がもたらす流動性回復を前にした、夜明け前の暗い時間帯とも言える貴重な買い場になるだろう
としていたが、それと比較してその後の細かい議論の価値は低かった。とにかく、「政府再開とQT停止がもたらす流動性回復を前にした、夜明け前の暗い時間帯とも言える貴重な買い場」が、予定通りの時刻に来ては去ったのである。
年初来大幅にアウトパフォームしてきたテック株は11月の調整の主役となった。AI過剰投資懸念と主役交代懸念がその背景であったわけだが、先週に入ってOpenAIが緊急事態宣言を出したり、METAがメタバースをリストラしたりと経営陣のリアクションを確認できたことは好感されやすかったようである。GoogleがOpenAIを圧倒する話はすっかり賞味期限となり、半導体も再びアウトパフォームした。
DBポジショニングは大きくカットされた後に折り返し始めた。特に裁量勢は押し目買いで入ってきており、機械勢は一歩遅れて買い戻しを始めている。裁量勢は押したら買える体制までポジションを落としていたのは分かっているし、機械勢はリアライズドvolが下がってスポットが上向きになれば買戻しに動きやすいので、11月にわたってポジショニングと睨めっこしてきた市場参加者にとってこのポジション積み増しはそんなに予想しづらい展開ではない。
BofAは6800を中心に再びポジティブガンマが構築されつつある。これで少し前のほとんど全領域ネガティブガンマから脱することができた。上値では金曜12/5に重かった6900近辺にコールウォールが築かれているが、そこを突破すると右麓を駆け下りる展開を再び期待できるようになる。
BofAの顧客別フローでは11月最終週に機関投資家が大々的に購入している。ただしHFはむしろ売っていた。リテールは元気がなくなったのかしばらく動きがない。セクターではそれまでに落とされていたテクノロジーが拾い直されている。
Deepseekショック前から大規模な売り越しを示唆していたファンディングスプレッドは、再び先物投資家の売り越しを示唆している。今のところ平時の上下動の下限にあるので逆指標にも使える気がするが、この領域を超えて下がってくるようなら少し時間差を置いて相場も下落しやすくなるだろう。
NAAIMはついに楽観域まで上昇してきた。これは今週以降は先週や先々週よりも安心して上昇を獲りづらくなることを示唆する。今回の底値圏は貴重であった。DBの裁量勢ポジショニングを見ても裁量勢の押し目買いはかなり入っており、上値を買い得る主体は裁量勢からシステマティック勢にシフトする。
今年はあまりシーズナリティが効かなかったことが知られているが、年末年始のシーズナリティはよい。
政府再開に伴い久々に経済指標発表日が警戒されはじめた。日本時間木曜12/11未明にFOMCがあり、利下げが決定されることになっている。この先は一旦金融緩和ネタが途切れると思われるが、そこまで織り込まれてもいるため、よほどタカ的に出て来ない限り消化され、通過と共にヘッジ解消が進みやすくなるだろう。
ただ万が一想定以上にタカで長期金利も更に大幅に上昇した、となると翌営業日まで油断ならない。木曜12/11引け後にはAVGO決算も控えている。
テクニカル。一週間にわたってナスダックのヘッドアンドショルダー右肩にあたる23670の直下で停滞した。世界中が同じチャートを見ていたため当たり前である。
金曜12/5の寄り付き後の上昇でその右肩が一度ブレイクされているが、だからと言って過去最高値に向けて直行するほどではなく、週末なにもあってそこでは利食いに押された。右肩が破られるくらいなので中期的な反落リスクはすっかり低下したとはいえ、1日程度の値動きを左右する利食いフローの影響は大きくなっている。
とはいえその値幅は限定的と思われ、左のガンマウォールを登って25SMAの6765近辺をタッチするのにも苦労しそうである。上値はチャート上は青天井であるが、6900前半のコールウォールがどこまでレジスタンスであり続けるか。
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編集部より:この記事は、個人投資家Shen氏のブログ「炭鉱のカナリア、炭鉱の龍」2025年12月7日の記事を転載させていただきました。