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先日、Facebookから通知が届いた。リンク付きの投稿をするには有料サブスクリプション「Meta認証」への加入が必要だという。私は仕事柄、記事やブログへのリンクを頻繁に投稿する。仕方なく加入した。
ところが加入後、すぐに利用制限が掛かった。耳を疑った。今度は、サブスクに入っても投稿できるのは「月4件まで」だというのだ。
これは詐欺ではないか。
そもそも非加入者は月2件までしかリンク投稿ができない。金を払っても4件。週1回の投稿すらままならない。ビジネスでSNSを活用する者にとって、これは実質的な締め出しである。
しかも私が投稿しているのは書籍紹介のURLにすぎない。この行為によって収益が発生することはない。純粋な情報共有ですら制限対象なのだ。
Metaは「テスト中」と説明しているが、事前の十分な告知もなく、加入を促しておいてから制限を明かすやり方は悪質と言わざるを得ない。消費者庁に通報すべき事案だと考えている。
思い返せば、約1カ月前にも不可解な出来事があった。突然アカウント制限を食らったのだ。理由の説明は一切ない。異議申し立てとクレームを行ったところ速やかに解除されたが、なぜ制限されたのか、なぜ解除されたのか、最後まで説明はなかった。ユーザーを愚弄している。
なぜMetaはこのような暴挙に出るのか。理由は明白だ。外部サイトへの誘導を徹底的に潰し、ユーザーをプラットフォーム内に囲い込みたいのである。広告収入を最大化するためには、ユーザーがFacebook内に滞留し続けることが不可欠だからだ。
しかし、これは本末転倒ではないか。
SNSの本質は情報の共有と拡散にある。外部リンクを制限するということは、SNSとしての存在意義を自ら否定することに等しい。「つながり」を売りにしてきたFacebookが、つながりを断ち切る側に回ったのだ。
思えば、Facebookの凋落は以前から顕著だった。若年層はとうにInstagramやTikTokに移行し、残っているのは中高年層が中心。投稿してもリーチは伸びず、かつての活気は見る影もない。影響力という点では、もはや主要SNSの中で最も存在感が薄いと言っていい。
今回の改悪は、沈みゆく船が乗客から金を巻き上げようとする悪あがきにしか見えない。
私はサブスクを速やかに解除した。来年中にはFacebookから完全撤収する予定だ。コメント欄にリンクを貼るなどの回避策もあるようだが、そこまでしてしがみつく価値があるとは思えない。
情報発信の場は他にいくらでもある。ブログがある(一応アメーバ公式)、noteがある。X(旧Twitter)がある。一つのプラットフォームに依存することのリスクを、今回改めて痛感した。
Facebookよ、さようなら。かつては世界を変えると信じられていたSNSが、ユーザーを搾取する集金装置に成り下がった姿を見届けることになるとは、なんとも皮肉な結末である。
尾藤克之(コラムニスト、著述家、作家)
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