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結論から言う。フリーランスは稼げる。会社員より、ずっと。
いや、正確じゃないな。「稼げる可能性がある」だ。でも、その可能性の大きさが、会社員とは桁違いなのだ。
「フリーランスビジネス大全」(大坪拓摩 著)KADOKAWA
会社員時代、給与明細を見るたびに思っていた。「俺、これだけしかもらえないの?」と。営業も取ってきた、企画も通した、納品もした。なのに、給料は隣の席でボーっとしてる先輩とほぼ同じ。分業制の弊害、というやつだ。会社として得た利益を、働いてる人も働いてない人も含めて山分けする。1人当たりの取り分が少なくなるのは、まあ、当然といえば当然。
フリーランスになったら、その構図がひっくり返った。
全部自分でやる。営業も、制作も、請求書発行も、確定申告も。正直、面倒くさい。死ぬほど面倒くさい。でも、その代わり、稼いだ金は全部自分のもの。中間マージンを取る上司もいなければ、利益を吸い上げる本社もない。これが、どれだけ気持ちいいか。
話が逸れるけど、昨日Xで「フリーランスは不安定」って投稿を見た。まあ、そうだろう。否定はしない。でもさ、会社員だって不安定じゃないか? 突然の異動、理不尽なリストラ、上司の気分で変わる評価。それを「安定」と呼ぶなら、言葉の定義が違う。
そういえば、フリーランスになって気づいたことがある。時間と場所の自由だ。
納期さえ守れば、いつ働いてもいい。私はフリーランス時代、納期前日までゴロゴロしてた。で、前日の深夜から徹夜して、翌朝納品。これ、会社員だったらクビだろう。でもフリーランスなら、誰にも文句を言われない。成果物の質が良ければ、プロセスは問われない。
場所もそう。去年、知り合いのデザイナーがバリ島に移住した。日本のクライアントから夕方に依頼が来る。バリは時差2時間だから、夜のうちに作業して、日本時間の朝には納品完了。「ゼロ営業日納品」ってやつだ。クライアントからすれば魔法みたいなもんで、めちゃくちゃ重宝されてる。
介護との両立もできる。地元の親が倒れたら、普通は仕事を辞めるか、介護を諦めるかの二択だ。でもフリーランスなら、地元に帰って、親の世話をしながら仕事を続けられる。これ、地味だけど、ものすごく大きい。
複業だってできる。農家の知り合いがいるんだけど、昼は畑、夜はWebデザイン。農業だけじゃ食えないから始めたらしいけど、今じゃデザインの方が稼げてるとか。笑える話だけど、笑えない現実でもある。
要するに、フリーランスは自由なのだ。
ただし——ここからが大事なんだけど——自由には代償がある。その話は、また別の機会に。いや、やっぱり少しだけ言っておく。自由ってのは、「好き勝手できる」って意味じゃない。履き違えると、痛い目を見る。私も見た。何度も。
でも、それでもフリーランスを選ぶ価値はある。少なくとも私は、そう思っている。
※ ここでは、本編のエピソードをラノベ調のコラムの形で編集し直しています。
尾藤克之(コラムニスト、著述家、作家)
■ 採点結果
【基礎点】 41点/50点(テーマ、論理構造、完成度、訴求力)
【技術点】 20点/25点(文章技術、構成技術)
【内容点】 20点/25点(独創性、説得性)
■ 最終スコア 【81点/100点】
■ 評価ランク ★★★☆ 水準以上の良書
■ 評価の根拠
【高評価ポイント】
✓ 両面提示の誠実さ:「利益総取り」の魅力と「誰も助けてくれない」現実を対置し、キラキラ起業論への批判を通じて読者に冷静な判断材料を提供している
✓ 具体性のある説得力:バリ島移住デザイナーの「ゼロ営業日納品」、農家兼Webデザイナーなど実例が豊富で、15年の経験に裏打ちされた信頼性がある
【課題・改善点】
✓ 独創性の限界:「自由と自己責任」「向き不向き」という結論は類書でも頻出するテーマであり、ジャンル内での差別化要素が弱い
✓ 実務ノウハウの深度:契約書、請求書、確定申告など「全部自分でやる」と触れつつも、具体的な解決策や手順の提示は限定的
■ 総評
フリーランスの光と影を経験者視点で誠実に描いた一冊である。「月収100万円」を謳うキラキラコンテンツへの批判は痛快であり、「個人の傭兵」という比喩が本書の姿勢を端的に表している。会社員には見えにくいメリットを具体例で示しつつ、「履き違えると痛い目を見る」と自戒を込めて警鐘を鳴らす。独立を検討する読者に「覚悟の棚卸し」を促す価値があり、甘い幻想を抱く前に読むべき良書である。
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22冊目の本を出版しました。
「読書を自分の武器にする技術」(WAVE出版)








