お気に入りのお店がミシュラン三つ星店になるデメリット

数年前から定期的に通っていた西麻布にある日本食レストランが、昨年末にミシュラン三ツ星に昇格しました。

自分が気に入っているお店が世界的なグルメガイドで最高レベルとして認められた。ただ食べに行っているだけの一顧客に過ぎませんが何だかちょっと誇らしく嬉しい気持ちです。

しかし、ミシュラン三ツ星店になることは利用客にとってはマイナスになるかもしれないことに気が付きました。

まず、客層の変化です。

ミシュランガイドは、外国人も利用するレストランガイドですから、三ツ星に昇格されたことで外国人の注目が高まります。また、三ツ星だから行きたいと考える日本人も少なくはありません。

お店の熱狂的なファンだけではなく、以前とは異なる客層の人たちが大挙してやってくれば、予約が取りにくくなるだけではなく、お店の雰囲気も変わっていきます。

特定の顧客を対象にして静かに営業していたお店が、有名店好きのギラギラした客層に変わってしまうのは、勝手な言い分であることを承知で言えばあまりうれしいことではありません。

また、予約の数が増えればお店側も強気になって料金設定を変えてくるかもしれません。

ただ人気が出たからといって浮かれて営業のスタイルを変えてしまえば、これまでの固定ファンから失望されてしまうことになります。

そして、三ツ星店になったことでお店のスタッフにもプレッシャーがかかる可能性があります。もし来年三ツ星店から陥落してしまえば、実力ではなく、フェイクと思われてしまうかもしれない。そんなことを考えて守りの姿勢に入ってしまうと、革新的で驚きのあるお料理が作れなくなってしまいます。

私が懸念している上記のようなお店の変化は、もしかしたら杞憂なのかもしれません。

職人気質の料理人は料理自身に真剣に向き合い、外からの評価よりも自分が納得できるかどうかが大切だと感じるはずだからです。ミシュランの星が増えたくらいでは何も変わらないということです。

それにしても、料理人の仕事とは難しいものです。伝統を守り人気メニュを維持しながら、一方で飽きられることの無いように新たなチャレンジを続けなければならない。

今回は、ミシュランの格付の変化を感じることはなく、いつものように満足できるお食事とお酒を楽しむことができました。1人の利用者の勝手な希望ですが、これがいつまで変わらないことを祈りたいと思います。

ミシュランガイド東京2026 ミシュランHPより


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2026年1月15日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。