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エセホスピス問題の噴出と国の動き
最近問題噴出の「ホスピス型有料老人ホーム(以下、エセホスピスホーム)」に、いよいよ厚生労働省が実態調査に乗り出すと報道された。ホスピスを騙る詐欺的な悪徳有料老人ホームで働く看護師たちの「血の叫び」があってのことと報じられている。
筆者は「エセホスピス:超高齢化社会の盲目的延命国家に湧いた悪い虫を駆除せよ」で「ホスピス型老人ホーム」を糾弾したが、筆者がSNSで主宰していた訪問看護・介護グループでも、報道に先立ち現場の看護師からの告発投稿があった。
エセホスピスホーム事業者大手は、複数の上場企業を含め、一社で30億円近い診療報酬の不正請求をしていたことが明らかになっている。
国は医療保険・介護保険制度を悪用し、病人や要介護者を詐欺同然にカモにして公金を「チューチュー」吸い続けてきた悪徳業者を、この機に徹底的に一掃すべきだ。そして社会と市場はそのような業者にレッドカードを突き付け、株式市場から退場させるべきだ。なぜなら、株式市場から調達した資金でこれら悪徳業者が今も次々と施設を増やし、国民と国から公金・血税を詐取しているからだ。
検察当局は、これら事業者を詐欺その他あらゆる罪状で調査・告発し、役員や「指南役」コンサルタントらを収監し、賠償請求で責任を取らせるべきだ。「ホンモノのホスピス緩和ケア、在宅ホスピス」に90年代から関わってきた先駆者を自負する筆者として、絶対に許し難い犯罪である。
“ホスピス型”の実態と不正ビジネスの構造
「ホスピス型ホーム」というと聞こえは良いが、実体は「サービス付き高齢者向け住宅」に訪問看護ステーション、訪問介護(ホームヘルプ)事業所を併設した「単なる有料老人ホーム」である。いわゆる「外部サービス利用型施設」なので、ホームそのものには管理人程度のサービス以外、介護も医療も機能は無く、ケアの保証は実は無い。ところが大手各社は逆に「不正してでも過剰サービスで荒稼ぎ」したのである。
なんと、一社だけで17万1546件の訪問時間を誤魔化し、28億円を不正請求。さらには、生活保護受給者を丸め込み、勝手に「末期に仕立てて」やり放題すらあったという。生活保護ビジネスが知られて久しいが、看取りにまで、それもかつてない規模で、こともあろうに公金をボッタクリしまくりとは!
エセホスピスホームは「難病でも末期でも看取りまで面倒みます」が売り文句である。中には特定の難病名指しのチェーンすらあり、筋萎縮性側索硬化症(ALS)など人工呼吸器が付いていてもOKとうたう。しかし難病専門ナースである筆者からして「本当に何ができるのか」である。難病の専門的看護経験が十分ある看護師は多くはない。難病や看取りケアは簡単なものではない。ただ「居させるだけ」なら誰でもできるが。
しかし、ここが付け入り処だった。難病や終末期、つまり(やや)高度な人工呼吸器などの医療処置や看取りが必要な人は、特養を含め既存の介護施設では、看護職不足や介護職の経験・能力不足のため対応できず、入居を断られることが多い。入れても具合が悪くなると救急車に乗せられ、ついでに入院させられ、強制退去となることが問題になっていた。それを解決する、最後まで面倒を見る、というと聞こえは良いが、実は弱みに付け込んで「良いカモ」にしたのである。
在宅医療制度を利用した“なんちゃってホスピス”の手口
近年、国が入院日数短縮と医療費削減のため在宅医療を推進している。病院医療に比べると積極的治療はしない(リソース的にも無理)ので、ある意味難易度が低い側面もある。そのため、専門医としての実績が不十分な医師等が在宅訪問医として開業する、させるというニーズとスキーム、開業コンサルが存在する。
そして特養開設が鈍っているため増えている民間有料老人ホームとタイアップし訪問診療を行う。同じ建物、隣の部屋だから、次々と短時間で効率よく診療でき、楽に荒稼ぎできる。そのような「なんちゃって在宅医」に因果を含めて「この人は末期と書類に書いてくださいね、わかりますね」とホーム事業者側が「要請」するのである。全員について。
そして「末期」「難病」「認知症」等の「重症な理由」を主治医が認めると、訪問看護を法的規定より頻回にしたり加算を付けることができる。要もないのに一日に何度も訪問し、しかも「ドアをちょっと開けて覗いただけで30分訪問したことにする」とか、「暴れたり巨体でもないのに二人で訪問する」等が主な手口である。完全に違法であり、制度が認めないことを「ちゃんとやったことにする」。しかも、それを指南した悪徳コンサルが複数いたとも報じられている。
もちろん、本当に重症や末期の患者であれば必要なことだが、「その必要が無いのに、必要と偽って」やる、それを全入居者にやる、これが不正の手口の実態である。「ホスピス」とは、「皆さん重症です」と言うための目くらましだろう。実際に訪問看護への給付がこの10年で5.4倍にまで急膨張している。要介護者増をはるかに上回るペースで、明らかに異常な増え方である。
訪問介護(ホームヘルプ)の介護報酬が先年引き下げられた理由として平均収支が黒字とされたが、実は黒字なのはホスピス型ホーム併設事業所で、本来の「要介護者の自宅に訪問する」事業所の多くは赤字だった。そのため昨年は事業所の倒産・廃業が多数あり、地方ではホームヘルプが利用できない事態も発生しつつある。
さらには空室を埋めるため、ホーム事業者側がホーム紹介業者に百万円を超える多額の紹介料を提示・支払っている実態も報道された。有料老人ホーム紹介業そのものは入居先を探す要介護者や介護家族の助けになるが、多額の紹介料をホームが払うとなると、まさに人身売買である。
名称規制と制度的対応の必要性
「公金チューチュー」という言葉が安倍政権末期にあったが、ホスピス型ホームはまさに公金チューチューそのものだ。入居者に医療保険・介護保険を過剰に無理やり「押し売り」利用させて荒稼ぎする。問題は入居者の多くが一割負担なので、あまり負担感が無いことだ。そして本人も家族も行き場がほとんど無いため、悪徳ホスピス型ホームを頼るしかない。
弱者に付け入りダシにして荒稼ぎする、それがホスピスを騙る、実体はただの悪徳有料老人ホーム・チェーンである。もはやわが国の医療介護制度に取り付いた寄生虫と言うべきで、断固として駆除しなければならない。
そして「ホスピス型有料老人ホーム」という名称そのものを規制すべきだ。ホスピスとは「ホスピスマインド」、すなわち死にゆく人に必要な医療とケアと志・想いを持つ者が専門知識・技術を駆使し提供する医療とケアを指す。それが無いものがホスピスを騙るなら詐欺である。良くて景表法違反である。「ホスピス」「緩和ケア」については明確な基準を設けて規制すべきだ。異業種の営利目的参入への規制も考えるべきである。
今はもう無い日本赤十字社医療センターの緩和ケア研究会に、ご縁あって20年来、毎月のように通い詰めて学んだ筆者をして「似非ホスピス」は許し難い犯罪である。株式市場の正義の鉄槌を強く求める。
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