日本の投資で2025年に隠れたヒーローとなったのがREIT。上昇率は一年で概ね25%。REITは不動産投資信託の略で上場している銘柄も多く、特徴は税務上の理由により、利益の大半を配当金にすることです。ざっくりイメージとしてはREITは不動産開発会社が出来上がった建物を関連REITに移し、投資家と銀行のマネーを概ね半々で投入します。その建物を運用、つまり賃料収入を得ることで銀行に元利払い行い、経費を払い、残った利益の大半を投資家に配当金として分配するわけです。

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なぜ2025年にREITが上昇したかといえば一つはコロナショックからようやく立ち直ってきたことがあります。特にオフィス系のREITは一時期在宅勤務が当たり前のようになり、オフィス需要はどうなるのだろうと危惧されたこともありますが、結局元に戻りつつあります。それに事業会社の業績も回復し、事務所、倉庫、商業不動産、ビックボックス、ホテル、データセンターなどあらゆる業種での需要が高まり、それに呼応して賃料の上昇が生じているのです。これはREITにとって収益拡大になり、増配にもつながる思惑からREITいいね、となるのでしょう。
実は今日、お話ししたかったのは日本のREITではなくアメリカやカナダのREITであります。私はご存知の通り様々な銘柄に投資をしていますが、不動産に強みがあるので、REITは相性が良く、昔から結構手掛けていました。
が、ご多分に漏れず、コロナの時に大打撃を受けます。株価が下がるだけなら問題はないのですが、株価が下げた原因に減配や配当中止が相次いだのです。特にオフィス系とかモーゲージ系は酷く、目も当てられない状態になります。配当を重視する私の投資スタイルとしては減配や無配では無意味です。そこで半分ぐらいのREITは税務上の利益と相殺させる目的もあり、損切りして処分し、一部の「可能性がありそうな銘柄」は持ち株より数倍買い増しをして平均買いコストを下げ、配当の再開をじっと待つ、そんな感じでした。
変革が起きていると実感したのが2025年でした。アメリカ、カナダでいわゆる不良化していた不動産が破綻し、裁判所の競売にかけられたり、REITがもつ不良物件が売却されるなどしてREITのポートフォリオの膿出しが多くの会社で行われたのです。事業でもっとも悪いのは下り坂を転げ落ちている時で、実は落ち切ったところは「それ以上の下はない」という考え方で経営が盛り返し、株価も切り返すパタンは多いのです。
昨年後半から北米REITは明らかに緩やかな右肩上がりの上昇を描いています。派手な動きは全くないのですが、もうしばし、上がるとみています。個人的に不動産投信のもう一つの理由は新規開発物件が少ないため、空室率などが改善するケースが増えている点です。デベロッパーの目線からすると土地を仕入れて許可を取り、工事をして完成させるまでの一連のサイクルは最近さらに長くなり、8年ぐらいかかっています。コロナの時にデベは土地の仕入れをフリーズし、その後も市況が悪かったため、新規物件が出てこないのです。データセンターのようにブームの物件に資金や労力が流れていることもあるでしょう。
私がコロナの頃、ある市の開発許可部で「2025年以降の不動産の需給はタイトになる」と申し上げたのをよく覚えています。住宅について最大の懸念があったのですが、政府が移民や一時滞在のビザの発給を半分ぐらいに絞ってしまったのでこちらは需給共に萎んでしまった経緯があります。が、ホテル、倉庫、データセンターなどは全然足りない感じがします。また街にタワークレーンが立っていないということはこれから4-5年はオフィスも商業施設も何も供給されないわけですからREITは必然的にタイトな需給関係の中で伸びしろがある、ということかと思います。
日本のREITについては業種によると思いますが、住宅や商業施設よりも物流倉庫やホテルなどが健全に見えます。私がもし巨大デベならホテルを作りたいですね。部屋はひっ迫しています。特にFIFAワールドカップが開催される都市ではもういくら出しても部屋はない状態です。日本でも札幌で「嵐」がコンサートするのにホテルの需要が高くなり、受験生の部屋が取れないという事態もあります。ホテルの価格は需給によりハイシーズンはとてつもない宿泊代になるので現金商売としてのおいしさはあると思います。
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2026年1月26日の記事より転載させていただきました。






