「連想脳」って何だ? 3ステップで英会話を乗り切る話

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先週、海外からの観光客に道を聞かれた。渋谷駅前。ハチ公の前。

「Where is…えーと…」と、その人が言いよどんでいる。たぶん「109」って言いたいんだろうな、と思った。で、私が「Big building? Fashion? Young people?」と聞いたら「Yes! Yes!」と。

英語は連想ゲームでどんどん伝わる」(斉藤裕亮 著)WAVE出版

これなんだよな、と思った。

固有名詞を知らなくても、特徴を並べれば伝わる。逆に言えば、私たちも同じことをすればいい。英単語がわからなくても、その周りの情報——カテゴリーとか、見た目とか、用途とか——を並べれば、なんとかなる。

これを「連想脳」と呼ぶらしい。

要するに、冷蔵庫の残り物で料理を作る感覚だ。材料(知ってる単語)は限られてる。でも、組み合わせ次第でいろんな料理(伝えたい内容)が作れる。カレーの材料がなくても、シチューっぽい何かは作れる、みたいな。

手順は3つ。

まず「カテゴリーを決める」。これが一番大事。英語は結論から言う言語だから、最初に「それ、何の仲間?」を示す。電子レンジなら「機械」、ノコギリなら「道具」、小豆なら「豆」。”It’s a machine.” “It’s a tool.” “It’s a bean.” ここを外すと、相手は迷子になる。

次に「周辺情報を集める」。特徴、用途、見た目、場所——関連するイメージをどんどん出す。電子レンジなら「温める」「食べ物」「キッチン」「ボタン」「回る」。ここは量が正義。多ければ多いほど、相手がピンと来やすい。

最後に「型を選ぶ」。短い文を並べる「短文型」、to不定詞を使う「目的型」、関係代名詞でつなげる「特徴型」。どれでもいい。というか、最初は短文型だけで十分。”It’s a machine. It heats food. It’s in the kitchen.” これで電子レンジは伝わる。

「それ、中学英語じゃん」って? そう、中学英語。中1、中2レベル。I have, It is, I want to——このへんで8割はいける。いや、9割か。

面白いのは、この練習をしてると、リスニングも上がること。なぜかって、英語の「後ろから前を修飾する」感覚が身につくから。”a machine to heat food”(食べ物を温めるための機械)みたいな語順に慣れると、聞く時も自然に頭に入ってくる。

逆に言えば、日本人が英語を聞き取れないのは、語順の感覚がないからなんだよな。単語は知ってるのに、文になると途端にわからなくなる。それは、組み立て方を知らないから。

連想ゲームをやってると、この「組み立て方」が体に染みつく。3ヵ月もやれば、電話対応くらいはできるようになるらしい。電話って、ジェスチャー使えないから結構ハードル高いんだけど。

まあ、信じられないなら試してみればいい。1日30分。25分のオンライン英会話と、5分のGoogle翻訳で発音チェック。Google翻訳に音声入力して、意図通りの英文が出れば発音OK。出なければ練習。これだけ。

暗記は、しない。覚えるんじゃなくて、組み立てる。

というか、そもそも暗記って「終わり」がないじゃん。どこまでやっても「まだ足りない」って感覚が消えない。でも「組み立て方」を覚えれば、持ってる単語でどうにかできるって安心感がある。この差、でかいと思う。

結局、英語って暗記科目じゃないんだよ。技術。型を知って、練習して、体で覚える。スポーツと同じ。

……と、偉そうに書いたけど、私もまだ道半ばである。知らんけど。

※ ここでは、本編のエピソードをラノベ調のコラムに編集し直しています。

尾藤克之(コラムニスト、著述家、作家)

<書籍評価レポート>

■ 採点結果
【基礎点】  38点/50点(テーマ、論理構造、完成度、訴求力)
【技術点】  19点/25点(文章技術、構成技術)
【内容点】  20点/25点(独創性、説得性)

■ 最終スコア 【77点/100点】
■ 評価ランク ★★★ 標準的な良書
■ 評価の根拠
【高評価ポイント】
実践的な3ステップ構成:「カテゴリーを決める→周辺情報を集める→型を選ぶ」という明快なフレームワークは、読者がすぐに実践できる具体性を備えている

著者自身の挫折体験に基づく説得力:暗記が苦手で英語学習に何度も挫折した経験から生まれた方法論であり、同様の悩みを持つ読者への共感性が高い

中学レベルの単語で完結する現実性:難解な語彙や文法を必要としない点は、学習のハードルを大きく下げており、入門者への訴求力がある

【課題・改善点】
「読み書きを捨てる」主張の極端さ:話すことへの特化は理解できるが、読解力との相互作用を完全に否定する論調はやや乱暴であり、中長期的な英語力向上への影響が検証されていない。また、言語習得理論との整合性についての説明が薄い

■ 総評
本書は「暗記に頼らない英語学習」という明確なコンセプトのもと、中学レベルの語彙だけで意思疎通を図る実践的な方法論を提示している。3ステップのフレームワークはシンプルで再現性があり、英語学習に挫折した経験を持つ読者にとっては心理的なハードルを下げる効果が期待できる。

一方で、著者の成功体験に依拠する部分が多く、学習効果の客観的な検証や、読み書きを排除することの長期的影響についてはやや説明不足の感がある。体系的な英語力向上を目指す読者には補完的な学習が必要となるだろう。